研究実績の概要 |
2018年度は前年度に見いだされた有望な素材(ポリビニルアルコール-ヨウ素錯体)を用いた3次元色素ゲル線量計の最適化と改良、および光学CTの開発改良を行ってきた。 本系の基本組成は部分ケン化型ポリビニルアルコール(PVA)とヨウ化カリウム(KI)、還元剤としてフルクトース、ゲル化剤としてジェランガムを含み、線量感度・線量率非依存性・加算性・再利用性など、多くの優れた特性を示す。本年度はこの系に関して、組成を他の類似物質で置き換えた場合の影響や、より高い線量感度を持たせるための増感剤の探索が行われた。増感効果についてはトリブロモ酢酸(Tribromo acetic acid)が特に有効であることを見いだし、微量の添加により感度を2倍から3倍高めることに成功した。これらの結果は、IUPESM 2018 (6/3-8, Prague, Czech)、第21回ヨウ素学会シンポジウム(9/14,千葉市)、IC3DDose2018(9/16-19, China)、第61回放射線化学討論会(9/26-28, 大阪市)等にて報告された。その他、光学的読み取りに重要な透明度の大幅な改善や、自動酸化(自然発色)を抑えることに成功した。これらの結果は2019年度の国際会議、ICRR2019(8/25-29, UK)やSSD19(9/15-20, 広島市)等にて報告予定である。 一方、光学CTの開発はやや難航している。前年よりの定量的読み取りに関する問題点を改善するため、特に本年度は改めてゲル線量計のゲルマトリクスや容器によるプローブ光の散乱や屈折の問題などの問題点の洗いを中心に行ってきた。これらの結果はIUPESM 2018 (6/3-8, Prague, Czech)、IC3DDose2018(9/16-19, China)にて報告された。
|