研究実績の概要 |
2019年度も引き続き前年度までに見いだされた有望な素材(ポリビニルアルコール-ヨウ素錯体)を用いた3次元色素ゲル線量計の最適化と改良、および光学CTの開発改良を行ってきた。 本系の基本組成は部分ケン化型ポリビニルアルコール(PVA)とヨウ化カリウム(KI)、還元剤としてフルクトースを含み、線量感度・線量率非依存性・加算性・再利用性など、多くの優れた特性を示す。 本年度はこの系に関して、スクロースなどを添加することによる経時安定性(自然発色の抑制)と透明度の改善(バックグラウンドの低減)を検討し、有望な結果を得た。また、これまでは物理架橋を利用したゲル化剤を用いていたが、PVAマトリクスを化学架橋により固化することによって熱安定性や透明度が大幅に改善された。更にその結果、線量感度も2-3倍向上させることができた。 これらの結果は、AAPM 2019 (7/14-18, San Antonio, TX, USA)、ICRR2019(8/25-29,Manchestar, UK)、SSD19(9/15-20, Hiroshima, Japan)、第15回中四国放射線医療技術フォーラム(9/21-22, 高知市)、HALCHEM IX (9/23-26, Perugia, Italy)等の国内外の学会、および数編の欧文誌にて報告された。 一方、光学CTの開発はやや難航している。初年度からの定量的読み取りに関する問題点を改善するため、昨年度も継続してゲル線量計のゲルマトリクスや容器によるプローブ光の散乱や屈折の問題などの問題点の洗いを中心に行ってきた。これらの結果はSSD19(9/15-20, Hiroshima, Japan)にて報告された。
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