研究課題/領域番号 |
17K09077
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
生駒 洋子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主任研究員(定常) (60339687)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ダイナミック造影MRI / 薬物動態解析 / 血行動態 / 特徴量抽出 |
研究実績の概要 |
ダイナミック造影MRIは、対象組織における造影剤の濃度変化を画像化することで、血管新生により変化する腫瘍の血行動態を定量して機能的変化を評価できるため、腫瘍の診断能向上に役立つものと期待される。しかし、ダイナミック画像から血行動態を求めるには、時系列データに対する薬物動態学的解析が必要となり、煩雑な作業が必要な上に定量精度も低い。そのため臨床画像診断での活用度は低く、簡便かつ高精度な血行動態評価法の開発が望まれる。そこで本研究では、時系列データの解析において薬物動態モデルの代わりにパターン認識の技術を導入し、血行動態の特性に応じた時系列データの分類法を開発する。さらに、解剖学的MRI画像を追加して複数画像の相関解析を行い領域分割することで、血行動態マッピングを試みる。 平成29年度は、シミュレーションデータおよび骨盤内腫瘍の画像を用い、まずダイナミック造影MRIデータから薬物動態学的モデルを用いて血行動態を定量評価する手法を確立した。この手法では、モデルの入力関数に参照領域の時間濃度曲線を用いることで、血液入力関数を用いる従来法に比べ簡便かつ高い精度で血行動態パラメータを求めることができた。 次に、造影剤濃度の時間変化パターンを反映する1次元の特徴量を簡便に抽出し、時間変化パターンに応じて領域分割する手法を検討した。得られた特徴量のマップは、薬物動態学的モデルで求めた血行動態パラメータの分布を反映し、部位による血行動態の相違を視覚的にも評価することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、ダイナミック造影MRIの時系列データから血行動態パラメータおよび時間変化パターンを表す特徴量を求める手法の確立を予定していた。現在までに、シミュレーションデータおよび骨盤内腫瘍の実データを用いて、参照領域を用いた動態解析モデルによる血行動態パラメータの定量法の確立、および時間変化パターンを反映する特徴量抽出法の検討、特徴量を用いた血行動態マップの作成まで完了しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度に確立したダイナミック造影画像の血行動態パラメータおよび時間変化パターンの特徴量に加え、解剖学的情報を表すT1強調画像の輝度値等を用いてクラスタリングを行うことで、骨盤領域を腫瘍、健常部位、筋肉、脂肪などに領域分割する手法を検討する。また、その結果を基に、最適な参照領域の抽出法を確立する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初は大容量データの解析用コンピュータおよびソフトウェアの購入を予定していたが、画像データを大量に扱うのは平成30年度のため、平成30年度に最新バージョンの機器およびソフトウェアを購入する。
|