研究課題
IgG4 関連疾患(IgG4-RD)は多臓器に炎症・腫瘤性病変を形成する全身性疾患である。発症要因にはアレルギー、悪性腫瘍、食事など環境要素の関連が報告されているが明らかではない。腎病変は無症候性に進行することが多く、受診時にすでに高度の腎不全に至っている症例がよく経験される。本研究では他大学との共同研究により、環境要素とIgG4-RD 発症の関連、潜在的な腎不全の原因としてのIgG4-RD が占める割合を明らかとする。これらの結果からIgG4-RDの病態解明、及び予防医学的介入に関する基礎知見の構築を目指す。これまでに能登地区で1344名、長崎五島地区においては2000名の地区住民の健康・疾病に関するデータベースを構築した。能登地区1327名の解析では、平均IgG4値は43.5mg/dl(2~256mg/dl)、IgG4高値は42名(3.2%)認められた。IgG4高値は男性に多い傾向があり、IgE高値が有意に相関した。IgG4値135mg/dl以上はe-GFR 77.9ml/ml、IgG4値 135mg/dl未満は83.7ml/minとIgG4値が高いと腎機能が低い傾向(p=0.135)が認められた。この内11例を精査した所、水腎症を伴う慢性腎臓病、動脈周囲炎、後腹膜線維症を合併した1例を認め、IgG4-RD疑診群と診断された。五島地区ではビーズアレイ法でIgG4を測定し、ネフェロメトリーによるIgG4換算値135mg/dl以上は2.6%であり、長崎県においてもIgG4高値はeGFR低下と相関する傾向が認められた。石川県一般人口におけるIgG4値はアレルギー素因、腎機能低下、男性と関連し、IgG4関連疾患の特徴と類似していた。以上の結果は2022年6月に開催される欧州リウマチ学会(コペンハーゲン)にアクセプトされた。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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