研究課題/領域番号 |
17K09085
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
頼藤 貴志 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (00452566)
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研究分担者 |
土居 弘幸 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20452568)
鹿嶋 小緒里 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 助教 (30581699)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 大気汚染 / PM2.5 / オゾン / 健康影響 / 疫学研究 |
研究実績の概要 |
欧米の研究を中心に、現在のような(過去の事例に比べれば低濃度の)大気汚染濃度でも健康影響を引き起こす可能性があることが指摘されているが、海外と比べ、国内では大気汚染の健康影響を評価した疫学研究は依然として少ない。特に、微小粒子状物質(PM2.5)やオゾンの健康影響、大気汚染の長期曝露による健康影響に関しては知見が少ない。 長期曝露による健康影響に関しては、岡山市における基本健康診査のデータを利用し、大気汚染長期曝露と呼吸器系疾患・循環器系疾患だけでなく、糖尿病など幅広い疾病・アウトカムとの関連を評価する予定である。 本年度は、岡山市健康診査データを利用し大気汚染長期曝露と疾病の関連を評価する為の、大気汚染長期曝露の各種指標作成(濃度、交通量指標、推定濃度)を行った。平成18年か19年の何れかで岡山市基本健康診査を受診し、2016年まで追跡が行われた約7万6千人を対象とし、個人レベルの大気汚染(PM2.5)曝露の程度を評価する指標を作成した。住所情報を利用した個人レベルの大気汚染曝露の程度の評価により対象者の曝露情報の誤分類を大幅に減らすことが出来ると考えられる。 また同時に、上記健康診査データは死因情報を保有していないため、厚生労働省に、動態統計情報の目的外申請を行い、死亡者の死因情報のリンクを行った。 本年度は、次年度に行う「岡山市における大気汚染長期曝露と疾患別死亡・その他アウトカムとの関連評価」のための曝露モデルの作成を完了させた。次年度の解析により、大気汚染の長期曝露の健康影響に関する知見を提供できるものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
岡山市健康診査データを利用した大気汚染長期曝露と疾病の関連を評価するための、大気汚染長期曝露の各種指標のデータの収集を終了した。また、目的外申請も行い、データの収集も完了した。よって、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、取得した健康診査データに大気汚染曝露指標と死因情報を割り当てたデータセットを利用し、大気汚染長期曝露の各種指標(濃度、交通量指標、推定濃度)と様々な疾病・アウトカムとの関連を評価する。具体的な疾病・アウトカムとしては、全死因死亡、呼吸器系疾患死亡、循環器系疾患死亡、肺がん死亡、糖尿病による死亡、その他疾病への罹患、HbA1c値の変化、介護状態の変化、認知機能の変化などを用いる。 解析には、生存分析、又はロジスチック回帰分析を用い、年齢、喫煙状態、飲酒状態、BMI値、既往歴、社会経済状態、地域の社会経済状態などの調整を行う。 解析後、学術会議発表、英文論文発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
衛星情報を利用し大気汚染モデル作成が可能となったため、大気汚染の曝露モデル作成の為の費用(測定依頼など)を削減することができた。次年度その削減分の経費を、解析や論文発表費用として使用する予定である。
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