研究課題
ヒトヘルペスウイスス6 (HHV-6) はほぼすべての成人に潜伏感染しており、同種臍帯血移植では80%以上の患者で再活性化がみられる。再活性化症例の一部で特異かつ予後不良の脳炎 (HHV-6脳炎) をきたす。本研究は臨床的に同定される脳炎以外にもHHV-6再活性化は認知機能低下、QOL低下に関係している可能性を考え、HHV-6再活性化のPCR法によるモニタリングと認知機能検査を行うことによりその仮説を検証している。本検討の実現のためには多施設参加による多数の症例登録と多施設共同による研究体制が必要となる。そのため申請者が所属している日本造血細胞移植学会合併症ワーキンググループ (WG) より提案の日本造血細胞移植学会、学会主導研究として行うことを計画した。まず科学研究申請書に基づいて、臨床観察試験を計画した。研究計画について造血細胞移植を担当する医師、精神科医師、臨床統計家などによる共同研究メンバーが一同に会して、議論を繰り返し、原案を作成した。この計画が多施設研究として実際の患者に実施可能であるかについて、日本造血細胞移植学会、合併症WG会議で参加施設メンバーとともに議論した。実現性を高めた計画に調整し、日本造血細胞移植学会臨床研究審査委員会に申請を行った。審議ののち、重要な研究として日本造血細胞移植学会学会主導研究の承認が得られた。引き続いて現在は日本造血細胞移植学会倫理委員会および申請者が所属している施設における倫理審査に提出している。また研究開始にむけて施設、症例の登録センターを設定し、業務調整を行った。大量のHHV-6 DNA測定に備え、試薬購入を進めた。このようにして本年は研究計画と体制について確立、構築を行い、計画開始にむけた最終段階に至った。
3: やや遅れている
研究計画を作成し、これについて日本造血細胞移植学会ワーキンググループでの議論、日本造血細胞移植学会での審査に時間を要した。また研究実現性を高めるために事前に多施設においてヒアリングを行い、実行可能な研究とするための調整が必要であった。これらのために研究開始が予定より遅れている。しかしこれらは多施設参画により共同研究を順調に進めるために必要な対応であったと考えている。
2018年度は実際の施設登録、患者登録を進め、再活性化のデータ、認知機能データ集積を進める。
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Biology of Blood and Marrow Transplantation
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.bbmt.2018.02.008
Bone Marrow Transplant
巻: 52 ページ: 1563~1570
10.1038/bmt.2017.175