研究課題
HHV-6はほぼすべての成人に潜伏感染しており、同種臍帯血移植では80%以上の患者で再活性化がみられる。再活性化症例の一部で特異かつ予後不良の脳炎 (HHV-6脳炎) をきたす。本研究は臨床的に同定される脳炎以外にもHHV-6再活性化は認知機能低下、QOL低下に関係している可能性を考え、HHV-6再活性化のPCR法によるモニタリングと認知機能検査を行うことによりその仮説を検証している。研究計画について、医師、精神科医師、臨床統計家などによる共同研究メンバーおよび日本造血細胞移植学会、合併症WG会議で議論し日本造血細胞移植学会臨床研究審査委員会に申請を行い、日本造血細胞移植学会学会主導研究として申請し、H30/7/6に承認が得られた。引き続き、国内の移植施設に本研究への参加を呼びかけ、現在11施設が参加登録となっている。登録症例はこの1年で29例であり、ようやく症例登録が軌道にのってきた。移植後70日目までのせん妄解析が終了した症例15例における中間解析(2020/3) ではDRS-R-98 >2は75%, >9は12.5%にみられた。注意集中力障害はHHV-6再活性化前後1週間 (HHV-6 window) に40%にみられ、それ以外の時期での発症は18.2%であった (P=0.025)。見当識障害はHHV-6 windowで20%、それ以外の時期では4.5%であった (P=0.017)。HHV-6再活性化は臨床的に脳炎と診断されていない症例においても、予想以上に多くの症例において、中枢神経機能に影響を与えていることが示された。今後さらに多数の症例について長期間の観察を行い、HHV-6の長期的な認知機能に与える影響について明らかとする。この検討はウイルス感染が癌患者の認知機能に影響を与えることをはじめて示すと、予防可能な認知機能障害を明らかとすることに繋がると考えている。
4: 遅れている
詳細なせん妄評価や精神神経機能検査を含む前向きの多施設共同研究であり、日本造血細胞移植学会の審査により修正作業が必要であり、研究開始まで時間を要した。現在は11施設が参加登録し、この1年で29症例が登録された。今後さらに症例登録を推進する。
日本造血細胞移植学会ホームページで学会主導研究としてアナウンスを行っている。https://www.jshct.com/modules/facility/index.php?content_id=25また全国の移植施設に直接参加を電子メールで呼びかける。
補助事業期間延長のため。多施設前向きの症例登録を行っているが、登録症例数が不足しているため研究期間を延長した。延長期間における検体のHHV-6 DNA PCR測定の物品費に使用する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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巻: -- ページ: -
10.1038/s41409-019-0752-5
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10.1111/tid.13172
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