研究課題/領域番号 |
17K09091
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
近藤 亨子 大阪市立大学, 医学部・附属病院運営本部, 技術職員 (80420727)
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研究分担者 |
大藤 さとこ 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70433290)
福島 若葉 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70420734)
伊藤 一弥 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (90768136)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 疫学 / 難病 / クローン病 / リスク因子 / 歯の状態 |
研究実績の概要 |
日本におけるクローン病の患者数は、近年上昇傾向を示している。クローン病発症のリスク因子は解明には至っておらず、日本人を対象とした疫学研究は少ない。本研究では、平成23~27年度に厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業にて実施された症例対照研究を発展させ、収集情報を分析疫学の原理に則って詳細に分析し、日本における近年のクローン病の発症関連因子を明らかにする。 本年度は「歯の状態とクローン病発症の関連」を詳細に検討した。歯の状態に関する因子として、永久歯(親知らずを除く)を抜いたこと、歯の数、入れ歯使用、インプラント治療、歯みがき回数、に着目した。統計解析は、多重ロジスティック回帰モデルを用いて、クローン病発症に対する各因子の調整オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)を算出した。 279人(症例116、対照163)の登録があり、このうち241人(症例101、対照140)から調査票の返送があった(回答率86%)。情報に欠損がなかった者は236人(症例97、対照139)、マッチング条件を維持できた者は183人であった。したがって、統計的検出力を高めるために、マッチング因子(年齢カテゴリおよび性別)を調整因子に含めた無条件ロジスティック回帰モデルを使用して、情報に欠損がなかった236人を対象として主解析を行なった。 多変量解析では、性、年齢、BMI、虫垂炎既往、炎症性腸疾患家族歴、飲酒歴、喫煙歴をモデルに含めた。歯磨き回数は、0-1回に比べると2回で0.39(0.19-0.81)、3回以上で0.21(0.08-0.56)となり、回数が増えるほどORが低下した(Trend p=0.001)。永久歯(親知らずを除く)を抜いたこと、歯の数、入れ歯使用、インプラント治療は、クローン病発症と有意な関連を示さなかった。 歯磨き回数が多いことは、クローン病発症と予防的な関連があるかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、日本人におけるクローン病の発症関連因子を明らかにすることを目的として、平成23~27年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業で実施した症例対照研究の収集情報を分析疫学の原理に則って詳細に分析している。 本年度は、主に、歯の状態に着目して、収集情報のデータチェック、コーディング、SASデータへの変換を行ない、症例と対照の特性を比較し(T-test、Wilcoxon rank sum test、Chi-square test、Fisher の正確検定)、クローン病発症に対する各因子のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出し(Conditional logistic model、Unconditional logistic modelを使用)、考察を行った。 クローン病発症と歯の状態との関連について結果は、第77回日本公衆衛生学会総会(演題名:日本人におけるクローン病の発症関連因子:口腔内衛生との関連)、第29回日本疫学会学術総会(演題名:クローン病発症と口腔内衛生の関連:多施設共同症例対照研究)にて報告した。さらに分析・考察を進めた成果について論文作成中である。 また、昨年度から行なっている「環境要因とクローン病の発症との関連(受動喫煙に着目して)」についての結果を論文化し、現在投稿中である(Title: The association between environmental factors and the development of Crohn’s disease with focusing on passive smoking: A multicenter case-control study in Japan)。 以上、ほぼ計画どおり研究を遂行した。
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今後の研究の推進方策 |
日本人におけるクローン病の発症関連因子を明らかにすることを目的とする。 平成23~27年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業で実施した症例対照研究の収集情報(自記式質問票より既往歴、家族歴、幼少期の因子、生活習慣、生活環境;自記式食事歴法質問票(DHQ: diet history questionnaire)より過去1ヵ月と1年前の摂取食品、栄養素;医師記入用調査票、クローン病の臨床調査個人票より症例の発症時期、病状などの臨床情報)を分析疫学の原理に則って分析する。平成29、30年度に検討していない因子に着目し、データチェック・コーディング・SASデータへの変換、症例と対照の特性比較(T-test、Wilcoxon rank sum test、Chi-square test、Fisher の正確検定)を行ない、クローン病発症に対する各因子のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出(Conditional logistic model、Unconditional logistic modelを使用)し、考察する。 過去に同じプロトコールで実施された「潰瘍性大腸炎のリスク因子に関する症例対照研究」の結果と統合して「日本における炎症性腸疾患のリスク因子」を検討する。 関連学会に参加し、意見交換および情報収集を行ない、研究の質向上に資する。 研究成果を、学会、論文にて発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データクリーニング・調査票確認の経費を平成30年度「直接経費-その他」に計上していたが、当該作業を研究代表者、研究分担者、研究協力者で実施することとしたため、「直接経費-その他」の代わりに「直接経費-物品費」が必要となった。次年度に使用予定である。 海外で開催される関連学会に参加(意見交換および情報収集を行う)するための経費を平成29年度「直接経費-旅費」に計上していたが、国内学会、論文にて成果発表を行うこととするため、次年度に「旅費、その他」として使用予定である。
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