研究課題/領域番号 |
17K09098
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
珍田 大輔 弘前大学, 医学研究科, 講師 (60637544)
|
研究分担者 |
中路 重之 弘前大学, 医学研究科, 特任教授 (10192220)
下山 克 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (50312492)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 腸内細菌叢 / ヘリコバクターピロリ感染 / 血清ペプシノーゲン濃度 / Streptococcus属 |
研究実績の概要 |
平成29年度に行った弘前大学大学院医学研究科の岩木プロジェクトで回収した血清および便サンプルの解析を行った。採取された血清は同プロジェクトの検査項目に加えて、本研究の抗ヘリコバクターIgG抗体価とペプシノーゲンIとIIと便サンプルから測定した便中ピロリ菌抗原の結果から、参加者をピロリ菌現感染者、既感染者、非感染者に分類し、ペプシノーゲンの値からは胃粘膜萎縮の程度を推定した。腸内細菌叢については次世代シーケンサーのMiseqを用い16SrRNA遺伝子塩基配列より検体に由来する菌群の帰属を推定した。 糞便サンプル中の細菌の構成比は、傾向スコアマッチングを使用して評価した。その結果、ピロリ菌感染者と非感染者の腸内細菌叢の比較では、ピロリ菌感染者の腸内細菌の多様性は非感染者より有意に大きかった。また、目で3種、科で4種、属で4種の存在量が、ピロリ菌感染者の方が未感染者よりも有意に高かった。以上よりH. pylori感染の有無により腸内細菌叢の違いがあることがあきらかとなった。 また、高度の萎縮性胃炎を有するピロリ菌感染者では、Bacilli網、Lactobacillales目、Streptococcaceae科およびStreptococcus属の相対的存在量が萎縮性胃炎のないピロリ菌感染者よりも有意に高かった。 結論として、日本人の腸内細菌叢は、ピロリ菌感染によりいくつかの細菌群の相対的存在量の有意な増加が観察された。特に、Streptococcus属の増加が顕著であった。 本研究の結果を、Digestion誌において「Influence of Helicobacter pylori Infection and Atrophic Gastritis on the Gut Microbiota in a Japanese Population.」として原著論文で報告した。
|