研究課題/領域番号 |
17K09103
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
土屋 康雄 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (60334679)
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研究分担者 |
浅井 孝夫 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (60612736)
生駒 俊和 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (60612744)
中村 和利 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70207869)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胆嚢がん / インド / 環境要因 / 胆汁 / 細菌 |
研究実績の概要 |
今年度は、30例の胆嚢がん患者と30例の胆石症患者から採取した胆汁中からDNAを抽出し、そのDNAを用いてメタゲノム解析により胆汁中の常在細菌叢を解明した。 胆石症患者の胆汁中からは、Pseudomonas punonensisなど5種類の菌が特異的に検出されたが、それらの菌は非病原性菌と考えられているものであった。 これに対して、胆嚢がん患者の胆汁中からは、Streptococcus(S.)anginosusなど15種の菌が特異的に検出された。特に、S. anginosusは30例の胆嚢がん患者のうち20例(67%)から検出された。さらに、S. anginosusの亜種(9/30、30%)や、このグループの菌とされるS. constellatus(7/30例、23%)やS. intermedius(6/30例、20%)も同時に検出された。これら以外の検出菌の中には口腔内分離菌や嫌気性菌が含まれていた。 このグループの菌は、口腔常在菌であり、弱毒性菌と考えられているが、日和見的に様々な感染症や深部臓器において化膿性疾患を引き起こすことが報告されている。さらに、嫌気性菌との混合感染で膿瘍形成傾向の増強も報告されている。これまでに、このグループの菌はしばしば食道がん、口腔がん、化膿性肝膿瘍、脳膿瘍、結腸直腸がん、肺化膿症,膿胸,腹腔内膿瘍など化膿性疾患の起因菌となることが報告されている。 我々が調べた限りにおいて、胆嚢がん患者の胆汁中からS. anginosusグループの菌が特異的に、かつ高頻度に検出されたとする研究は今までなかった。したがって、さらなる研究が必要である。両者の関係の妥当性を評価する必要があり、さらに症例数を増やし、異なる地域の胆嚢がん患者でも同様の結果が得られるかどうかを検証する必要である。
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