研究課題
平成31(令和元)年度は、追跡調査の一環として久山町で循環器健診を実施し、問診と血液検査、医師の診察により糖尿病や耐糖能異常の有無を判定し、治療の有無や開始時期、合併症や並存疾患の有無について調査を行なった。健診未受診者、転出者についてはアンケート郵送や電話調査、訪問にて病歴を確認した。診療情報を収集し詳細な検討を行ない、死亡時には剖検を行った。以上の調査から得られた臨床情報を整理し、糖尿病発症の生存時間解析用のデータベースの整備を行った。統計解析として、2002年の久山町健診で経口糖負荷試験を受けた40-79歳の住民のうち、糖尿病の既往者を除いた2336名において、血中脂肪酸(総遊離脂肪酸における割合)、エライジン酸(トランス脂肪酸)濃度と10年間の糖尿病発症との関係を、Cox比例ハザードモデルを用いて検討した。その結果、ω3不飽和多価脂肪酸、エライジン酸濃度と糖尿病発症との間に有意な関係はみられなかった。一方、ω6不飽和多価脂肪酸については、ジホモ-γ-リノレン酸と糖尿病発症との間に有意な正の関係、リノール酸と糖尿病発症との間に有意な負の関係があった。以上より、わが国の地域住民では、血中脂肪酸、特に多価不飽和脂肪酸と糖尿病発症の関係において、一定の見解が得られなかった。その理由として、糖尿病発症数が十分でなく検出力が不足した点、各脂肪酸間に相関があり、複数の脂肪酸を考慮した解析が必要である点が考えられる。このことから、脂肪酸の情報を踏まえたリスクスコアの作成は時期尚早と考え、精度高い検討を行うために世界14カ国から20のコホート研究を統合して脂肪酸と疾患発症の関係を検討するFatty Acids and Outcomes Research Consortium (FORCE) に参加し、脂肪酸と糖尿病発症との詳細な検討を行うこととした。現在、データの解析中である。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 7件)
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