研究課題/領域番号 |
17K09117
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
土器屋 美貴子 大分大学, 医学部, 助教 (20749139)
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研究分担者 |
兼板 佳孝 日本大学, 医学部, 教授 (40366571)
井谷 修 日本大学, 医学部, 准教授 (70624162)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高校生 / 生活習慣 / コホート調査 / 多変量解析 |
研究実績の概要 |
生活習慣が確立する前の高校生において、健康的な生活習慣を身につけることは重要である。しかし、高校生の生活習慣に影響を与える要因について包括的に検討した研究は少ない。昨年までは、ベースライン調査時点について横断的に解析を行った。今年度は、昨年度に実施したフォローアップ調査結果と、ベースライン調査結果を連結し、解析を実施した。 クロス集計の後、有意に関連がみられたインターネット依存度を目的変数とし、これに関連する要因を多重ロジスティック回帰分析法にて、ベースライン調査における基本属性や生活習慣およびその他の各項目から探索した。 2回の調査に回答した生徒は6074人であった。2年間で新たにインターネット依存の状態がみられた生徒は、男子1.0%、女子2.4%であった。これらの生徒について、2年後のインターネット依存発症は、ベースライン時のどのような要因と関連がみられるのか、縦断的に多変量解析を行った。男子では、平日の不活発時間が長いことや、引きこもり親和性の一つである他人が自分をどう思うか不安になることと関連がみられた。女子では、間食の回数が多いことや、衝動的な行動をすること、遅刻をすることや他人が自分をどう思うか不安になることと関連がみられた。これらの関連要因の中で、引きこもり親和性は、男女に共通する予測因子となる可能性が確認された。その他の関連要因は、男女で異なる特徴がみられた。インターネット依存の発症を予防するためには、性差を考慮した公衆衛生施策を講じる必要があると思われる。 上述の結果について、第78回日本公衆衛生学会総会にて発表を行い、参加者と意見交換を行った。また、既に解析を行い、学会等で発表している睡眠障害とインターネット依存について、先行研究を整理し、論文を投稿しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、最終的に(疫学調査および論文検索をもとに)、保健教育用教材を作成することを目的としている。この保健教育用教材の原案は、予定通り養護教諭等関係者と協議を重ね、完成している。今後印刷を行うに当たり、最新の知見および追加の解析結果を反映させた校正をしたいと考えており、その作業と印刷及び配布作業が残っている。
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今後の研究の推進方策 |
解析の内容を深める。得られた結果および最新の知見をもとに、高校生向けの保健教育用の教材の仕上げる。教材は、県内の高校へ配布する。 加えて、縦断研究の結果について、論文投稿を予定している。 さらに、解析結果について、学会等他の研究者も交えて検討を重ねる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、以下の通りである。1つめは.高校生を対象としたリーフレットの印刷および配布が終わっていないためである。2つめは.横断的解析結果の英文誌投稿作業が最終結果を待っている状態であり、投稿作業が終了していないためである。加えて、縦断的な解析結果について、英文雑誌へ投稿する論文の執筆中であり、英文校正作業が終わっていないためである。 次年度の使用計画は、次の通りである。1つ目のリーフレットについては、印刷に係る経費として30万円(Å3サイズ大、光沢紙、1万部)、そして各高校への通信運搬費として、8万円(1校あたり2000円×40校)を計画している。2つめの英文誌投稿に際しては、BMCPediatric投稿費が未払いであり、およそ20万円を予定している。加えて、縦断解析論文の英文校正費として15万を計画している。
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