研究課題/領域番号 |
17K09117
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
土器屋 美貴子 大分大学, 医学部, 助教 (20749139)
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研究分担者 |
兼板 佳孝 日本大学, 医学部, 教授 (40366571)
井谷 修 日本大学, 医学部, 准教授 (70624162)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 縦断調査 / 多変量解析 / 先行文献レビュー / 保健教育用教材 / 思春期 / 精神的ストレス / インターネット依存 / 睡眠障害 |
研究実績の概要 |
本研究は、一般の高校生を対象に、縦断的な調査及び解析を行い、高校生の生活習慣の変化に影響を及ぼす要因を解明することを目的とする。 2020年度は、横断的な結果から、インターネット依存と睡眠障害との関連について、BMC Pediatricに発表した。まず単解析にて、インターネット依存と睡眠障害それぞれと関連のある項目を探索した。欠食の頻度が高いことや抑うつ気分の頻度が多いこと、そして学校生活満足度が低いことは、インターネット依存および睡眠障害の両方と有意な関連がみられた。また、インターネット依存のスコアが高い群ほど、睡眠障害を有する割合が高かった。学校種別(公立か私立か)、部活動、課外学習、テレビ視聴時間、欠食、抑うつ気分、学校生活満足度を調整した多変量解析において、インターネット依存の得点が高い群は、低い群に比べて、睡眠障害のオッズ比が高いことが示された。これらの結果は、先行研究より、インターネット依存と睡眠障害を有することは、脳の灰白質へ影響を与える可能性が考えられた。 次に、保健教育用教材(ポスター)を作成した。このポスターは、当該調査結果および養護教諭部会の先生方のご意見を反映し、先行研究や本研究結果を参考にして作成した。作成後、参加協力校の全学年へ、教員を通して配布した。今回、これを用いる効果については、検討していない。 さらに、縦断的な解析で得られた、インターネット依存の予測因子の解釈について、先行研究をもとに検討した。男女に共通した予測因子は、ひきこもりの調査で用いられたsocial anxietyがあることであった。その他は、男女で異なる因子がみられた。しかし、それらの背景に精神的なストレスを有することが示唆され、男女での因子の違いは行動の違いではないかと推察された。本研究により、思春期のストレス軽減は、インターネット依存発症を予防する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
業務遂行とあわせて、余裕を持って本研究に取り組めるように、研究期間を延長している。そのため、今年度予定していた保健教育用教材の印刷と配布を行うことができた。 さらに、縦断的な解析と得られた結果について、考察を深めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
5,000人を超す思春期のコホート調査から得られたデータは、国内においては大変貴重である。最終年度は、本調査で得られた結果について、縦断的かつ多角的に解析を行い、現状を明らかにする。さらに、保健教育につながる方策を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定はほぼ遂行でき、主な結果については、解析と検討を終えている。しかし、一部の生活関連因子については、多角的な解析に至っていない。そのため、未使用額が生じた。来年度は、得られた因子について、網羅的な解析を行う。そして、得られた結果について、文献検索(資料・複写費)を行い、最新の知見を踏まえて、高校生の生活習慣の変化に影響を与える要因を明らかにする。未使用額は、計画時に予定されている以下の項目(a,b.c)に使用する。a.文献検索に係る、資料・複写費。 b.英文誌投稿費。c.文房具
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