研究課題
実績概要1.積算検体数は平成29年度末(2018年3月31日)時点で1480例。男女比は78:22、平均年齢は33.7歳(最高齢66歳・最年少18歳・中央値32歳)。人種比はMalay:33%、Chinese:21%、Kadazan:15%、Bajau:11%、Dasun:5%、その他15%となっている。現時点ではKota Kinabalu市内のボランティア(献血者、清掃業従事者など)からいただいた検体が主である。陽性者は1例(末梢血からDNAを回収しプロウイルスゲノムの解析中)。実績概要2.ATL患者末梢血より樹立した細胞株、OATL9ゲノム中の2種類のHTLV-1プロウイルスの染色体挿入部位およびウイルスゲノムの全塩基配列を決定した(Genome Announcement, accepted)。細胞表面マーカーおよび遺伝情報解析より、OATL9はB細胞由来であり、エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)の感染も認められた。HTLV-1プロウイルスおよびEBV、双方のウイルス遺伝子群の発現様式による感染細胞の不死化に至ったプロセスについて、その分子機序を引き続き検討中。実績概要3.フィリピンで開催された国際シンポジウムの招聘講演を行った(1st International Scientific Conference of Molecular Medicine, St. Luke’s College of Medicine, Manila)。HTLV-1感染によるATL発症の分子機序を概説し、St. Luke’s医科大学の臨床研究者とHTLV-1感染症について、Seroepidemiologic Studyのプランを協議。
2: おおむね順調に進展している
Kota Kinabalu市内の人種比に概ね比例する検体の収集が進んでいる。検体数は最低限の目標である1000例は既に突破した。血清陽性者の末梢血よりDNAを回収し、プロウイルスの解析を開始した。
現地共同研究者と協議の結果、Kota Kinabalu市内のみならずマレーシア領ボルネオ島北部地域で関連機関と協力し、より広域で検体の収集を行うこととした。最終年度末までに2000例を目標に収集する。さらに現地関連医療施設で造血器悪性腫瘍を発症した症例中にHTLV-1感染例の存在についても検証を進める。またHTLV-1陽性検体から得たDNAのHTLV-1プロウイルスの挿入部位およびプロウイルス全体の塩基配列を決定する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Genome Announcement
巻: 6 ページ: 印刷中