研究課題
積算検体数は平成30年度末(2019年3月31日)時点で1862例となり、昨年度から422例の追加があった。男女比は69:31、平均年齢は36.6歳。ボルネオ島北部地域の42民族から検体を採集を行い、比率の高い順からMalay:21%、Chinese:13%、Kadazan:13%、Bajau:9%、Dasun:9%、Brunei:4%、Rungus:2%、その他29%となっており、この中にはフィリピンから不法入国したコタキナバル市沿岸部の海上生活者も含まれる。Kota Kinabalu、Burunei、Kudatなど各地域のボランティア(献血者、清掃業・農園従事者など)、からいただいた検体が主で、陽性者は1例(末梢血からDNAを回収し、プロウイルスゲノムの解析中)。以上の結果を第59回日本熱帯医学会大会(於長崎大学医学部 坂本キャンパス)にて発表。さらには同プロジェクトで回収した血清の解析により、現地における種々の感染症の実態調査(ウイルス脳炎・下痢症、ピロリ菌など)に役立てている。今後はKota Kinabalu市およびその周辺域に加え、ボルネオ島マレーシア領最北部に位置するSandakanに現地共同研究機関Queen Elizabeth II Hospital(QE2)の分院にて、研究スタッフによる血清検体の収集と検出キットによる検査を行う。現地共同研究機関Universiti Malaysia Sabah (UMS)のAhmed教授はBorneo Medical and Health Research Centre (BMHC)の所長も兼務しており、本研究事業を契機にBMHCにおいて関連医療機関の医療従事者に向けてHTLV-1関連疾患に関するセミナーを開催し、HTLV-1の血清学的検出法である粒子凝集反応(Particle Agglutination Test:PA法)の講習をUMSの大学院生を対象に行った。伊波も講義を担当した。
2: おおむね順調に進展している
研究対象のKota Kinabalu市内および近隣地域にて人種比に該当する検体の収集が進んでいる。検体数は最低限の目標である1000例は既に突破し、2000例に届きつつある。血清陽性者の末梢血よりDNAを回収し、プロウイルスの解析を開始した。さらに陽性者のコミュニティー内で検体収集の計画を進めている。
現地共同研究者と協議の結果、Kota Kinabalu市内のみならずマレーシア領ボルネオ島北部地域で関連機関と協力し、より広域で検体の収集を行うこととした。最終年度末までに2000例を目標に収集し、得られた陽性例に関しては分子生物学的手技によりHTLV-1ゲノムの解析を行う。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Genome Announcemen
巻: 6 ページ: e00090-18
10.1128
PLOS Currents Outbreaks
巻: 9 ページ: May 1, 2018
10.1371