研究課題/領域番号 |
17K09123
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
岡 檀 統計数理研究所, 医療健康データ科学研究センター, 特任准教授 (10649247)
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研究分担者 |
大森 哲郎 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (00221135)
山内 慶太 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (60255552)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自殺希少地域 / 自殺予防因子 / 子ども / コホートスタディ / 社会スキル / 援助希求能力 / 中1ギャップ |
研究実績の概要 |
[背景] 自殺予防対策は、わが国が取り組むべき重要課題の一つである。自殺問題の地域研究については自殺多発地域を対象とした自殺危険因子の研究に蓄積があるが、研究代表者は、自殺希少地域(自殺発生が極めて少ない地域)を対象に、自殺リスクを軽減する「自殺予防因子」の探索を行っている。これまでの研究の結果、自殺希少地域・徳島県海部町には、5つの自殺予防因子;①異分子への寛容と多様性重視、②長期的・多角的視点での人物評価、③有能感・自己効力感の醸成、④適切な援助希求行動、⑤緊密過ぎないゆるやかな紐帯があり、地域住民が成長していく過程で無意識に刷り込まれていく要素であると考えられた。 [目的] そこで本研究では、自殺希少地域と多発地域の子どもたちとその保護者を対象に、子どもが社会的スキルを会得する過程に注目して追跡調査;子どもコホートスタディを行うこととした。得られた結果から、保健福祉や児童教育の施策に資する知見を得ることを目指す。 [方法] 初年度に徳島県海陽町において第1回調査を実施したのに続き、第2回を行った。今回は中学1年生が新たに対象に加わった。また、今年度より徳島県三好市において同じ子どもコホートスタディを開始した。 [結果] いわゆる「中1ギャップ」(進学による環境の変化、これに伴う不安や気分の落ち込み)に着目して分析を行った。うつ傾向のある中学生徒は小学生のときからその傾向が高かった。学校生活をしんどいと感じる生徒は、自分の意見を強く主張できない傾向があり、子どもにもどってやり直したいと思う比率が有意に高かった。生徒のうつ傾向には、いろいろな友人とつきあうのではなく、常に決まった友人とつきあうという小学生時の行動パターンが、関係していた。また、うつ傾向にある生徒の周囲には、保守的男女役割観を持つ大人がより多いという結果が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に開始した子どもコホートスタディの第2回を実施したことにより、横断分析のみならず縦断分析が可能となった。 また、対象地域を拡大したことにより、データの蓄積が増えることにより、分析の精度を上げることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
徳島県海陽町において第3回調査、三好市において第2回調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象地域での講演依頼があり、旅費一回分の支出を行わなかった。 アンケート用紙印刷費の相見積の結果、当初計画より安価に制作できた。
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