研究実績の概要 |
今年度は,2022年度の公表した「公的統計の利活用における、オープンGISデータおよびフリーツールの有用性と課題―病児保育施設へのアクセシビリティ解析を例に―」(統計研究彙報, 79, 61-74, 2022)をベースに,より現実的な移動経路を反映したネットワーク分析を実行するために,道路網データの改良を行った.具体的には,被災地域(例えば,浸水等による通行困難)の移動が制限されるケースを踏まえた分析をする方法を開発した.モデルケースとして,広島市が作成する河川氾濫浸水ハザードマップの地域を事例に,浸水による移動制限を考慮した避難経路分析を行い,いくつかのシナリオに対する避難時間に基づくハザードマップを作成し,動的な地図として公開した.本研究の成果は,広島原爆被爆において入市被爆者の移動経路を被爆資料の情報に基づき分析し,移動経路により2次的な被爆がどの程度あったかを検討する際に有用であると期待される.
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