研究課題
本研究では岩手県北部・沿岸地域で実施されている健診受診者26,469人を対象とした岩手県北地域コホート研究(県北コホート)を基盤として、レセプトデータ(医科、調剤、DPC)を収集することで、レセプトデータによる脳卒中判定の妥当性を検証し、レセプトデータによるアウトカム把握を大規模コホート研究に適用することの妥当性を明らかにすることを目的とする。県北コホート研究の対象地域は岩手県北部・沿岸の二戸、久慈、宮古の3保健医療圏である。県北コホート研究では追跡調査として、平成14年度から平成29年度まで、住民票照会による生死・転出情報、人口動態調査票の二次利用申請による死因情報、介護保険制度による要介護認定情報、岩手県地域脳卒中登録事業及び岩手県北・沿岸心疾患発症登録協議会の登録データとの照合による脳卒中及び心疾患(心筋梗塞、心不全、急性死)の発症情報を追跡してきた。平成30年度は前年度に引き続き、追跡データの整理を行った。具体的には厚生労働省の承認の下、人口動態調査の二次利用により収集された死因データの整理を行った。一方、レセプトデータ収集についてであるが、個人情報保護法以前に開始された本研究の同意内容では、今般の個人情報保護法改正に伴い対象市町村からレセプトデータの提供を受けることが難しく、レセプトデータを収集できなかった。そこで平成30年度は一部方針を変更し、下半期に対象地域内の脳卒中診療病院(主に基幹病院)の協力を得て、まずは当該病院内でDPCレセプトデータを用いた脳卒中症例の抽出条件の検討を行った。
4: 遅れている
本研究では基盤となる岩手県北地域コホート研究の追跡調査を継続することとレセプトデータを収集することになっている。平成30年度は主に死因データの整理を行った。レセプトデータ収集についてであるが、個人情報保護法以前に開始された本研究の同意内容では、今般の個人情報保護法改正に伴い市町村からレセプトデータの提供を受けることが難しく、レセプトデータを収集できなかった。本研究の遅れの主な原因はレセプトデータを収集できなかったことである。しかし、一部方針を変更し、対象地域内の脳卒中診療病院(主に基幹病院)の協力を得て、まずは当該病院内でDPCレセプトデータを用いた脳卒中症例の抽出条件の検討を行った。この方針変更の検討に時間を要したことも研究が遅れている原因である。
市町村からレセプトデータの提供を受けることが困難であるため、一部方針を変更し、対象地域内の脳卒中診療病院(主に基幹病院)の協力を得て、当該病院に入院した脳卒中患者のDPCレセプトデータと同病院で岩手県地域脳卒中登録に登録したデータとの照合を行い、その集計結果を基に一致度を確かめることとする。その上で追跡の同意が得られている対象者において、DPCレセプトデータによって脳卒中症例を抽出し、抽出症例をアウトカムとした生存分析を行うこととする。
当初、市町村からのレセプトデータ提供料として準備していたが、市町村からの収集が困難となったたため、次年度使用額が生じた。平成30年度に方針を変更し、対象地域内の基幹病院におけるDPCレセプトデータによる脳卒中の抽出条件の検討を行ったが、抽出に係るプログラム開発費用、及び、これまでに収集されている追跡データの整理費用として使用する予定である。
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American Journal of Hypertension
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10.1093/ajh/hpy055
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