研究課題/領域番号 |
17K09129
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
内野 美樹 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (00365339)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ドライアイ / 遠隔スクリーニングツール / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、85歳以上超高齢者1000名の住民調査において、眼疾患の有病率および危険因子を解明、要介護にいたるハイリスク者の同定ならびに、ドライアイにおける遠隔診断のツール作成である。研究成果としては、大学での倫理審査、同意書ならびに、質問票の作成等の事前準備を経て、実際に川崎市内に在住する85歳以上の住人に対して、検診が開始されている。現在、実施されている検診の新着は当初予定人数と比較すると進展が遅いものの、検診は着実にすすんでおり、今後も継続的に実施していく。 本研究の2本目の柱である、超高齢者において遠隔診断可能なドライアイツールの作成を目的を遂行するために、2つの他のドライアイのデータセット(MoriguchiStudy, 眼科クリニックにおけるドライアイ受療患者の実態調査)合計538名を用いて、ドライアイのスクリーニングツールを機械学習を用いて作成した。平均年齢が49.7±14.0歳と若年者であるデータセットをランダムに学習グループ500名、テストグループ38名の2つにわけ、ドライアイの診断ツール検証を10,000回実施したところ、ドライアイの遠隔スクリーニングツールは、過去1週間において「眼が疲れる」、「眼が乾いた感じがする」の2項目となった。2つの機械学習アルゴリズムのうち、Random Forestを用いたものでは感度88.1%、特異度66.0%、診断一致率81.1%となった。また、NaiveBayesを用いた際には感度75.0%、特異度81.6%,診断一致率は77.1%となり、機械学習のアルゴリズムとしては、Random Forestを用いたものの方が診断一致率が高くなる事が証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検診実施に関しては、初動の倫理審査に時間がかかった事があり、データセットのためのデータ収集開始が遅れたため、当初の予定に反して遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、着実に検診を実施して行く事である。85歳以上の高齢者を対象にしているため、一人一人に時間がかかり、検診実施速度を急速に早める事は難しいが、一日における検診可能な人数を増加させる事、市民に対する積極的な参加要請で、対応したい。 検診終了後におけるドライアイのスクリーニングツール作成のための機械学習のアルゴリズムの検証においては、他のデータセットを用いて既に検証を実施完了させる事ができたので、検診データセット完了後の研究の推進は早いものと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
検診実施に関しては、初動の倫理審査に時間がかかった事があり、データセット作成のための検診の開始が遅れたため、当初の予定よりも遅れている。今回は高齢者を対象にしているのでなかなか難しいものの、一日の健診可能人数を増加させる事、検診協力者への市からの積極的な働きかけを実施する事で、一人でも多くの方に検診に参加してもらえる環境作りを実施する。 本来であれば終了しているデータセット作成であるが、助成金を使用し、次年度も実施する事で早々にデータセット作り実現に全力を注ぐ。
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