研究課題/領域番号 |
17K09134
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大場 延浩 日本大学, 薬学部, 教授 (90728677)
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研究分担者 |
福岡 憲泰 日本大学, 薬学部, 教授 (90708950)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スタチン / 緑内障 |
研究実績の概要 |
レセプトデータベースに含まれる高脂血症患者の集団を特定するため、レセプトデータベースに含まれるスタチンを含む脂質低下薬が処方されている患者を特定した。同時に、緑内障やスタチン開始時点における合併症や併用薬の情報を抽出することができた。 はじめに、平成30年度までにスタチンが処方された高脂血症の患者集団のうち、新規にスタチンを開始した患者と既に脂質低下薬を以前から使用していた患者集団に分けて、新たにスタチンが使用された患者を対象患者として特定した。対象患者の性別や年齢といった患者背景(合併症や併用薬の割合)などについて集計を行った。アウトカムについては、これまでの検討を踏まえ、眼科疾患に関する診断や手術、治療薬の情報から特定することが出来た。 最終的には、スタチンの使用と眼科疾患の発生との関連についての検討を予定している。スタチンには薬効によって強いスタチンと弱いスタチンがあることが知られているので、まず、スタチンをこの2つのタイプに区分して、眼科疾患の発生割合がどの程度であるかについての検討を行った。これは、スタチンの強さの違いが眼科疾患の発生に影響するのかを明らかにするためである。 これらスタチンの使用者の緑内障の発生について検討したところ、強いスタチンと弱いスタチンの使用者間で、緑内障の発生のリスクは同程度である可能性が示唆された。これについては、日本医療薬学会で報告を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
わが国のレセプトデータベースを用いて、スタチンの使用と緑内障の発生についての検討した結果を発表することができた。これについては、さらに感度分析を進め、最終的にスタチンの緑内障発生への影響についての検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
スタチンの使用と眼科疾患の発症との関連についてさらに感度分析を行う予定である。既に、検討してきた眼科疾患を特定する定義を用いて、スタチン開始後に新規に発生した眼科疾患の発生をイベントとする。スタチンの強さで2群に分けるだけでなく、個別のスタチンの患者集団ごとに、眼科疾患の発生人数を集計し、それぞれの眼科疾患の発生割合を推定する。スタチンのうちの1つをコントロールとして、それ以外のスタチン使用者における未調整の相対リスクを推定する。さらに、スタチンを含む脂質低下薬の使用と眼科疾患の発生の両方に影響を与える因子(交絡因子)の割合が、比較する2群間で異なると、正しい相対リスクを推定することが困難であるので、これらの因子を調整した相対リスクについて推定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの購入費用が当初の想定よりも高く、平成29年度から繰り越した費用を合算し、ソフトのみを購入する必要があった。しかしながら、研究は計画通り進み、当初からの目的を達成している。
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