研究課題
本研究では,篠栗町在住の高齢者を対象とする8年間の前向き観察コホート研究を通して,客観的に評価された日常の身体活動および座位行動と要介護認定との関連,および「健康づくりのための身体活動基準2013」を満たす身体活動の実践と要介護認定との関連を明らかにすることを目的としている.この目的に即した平成30(2018)年度の主な研究実績としては,①追跡調査データの整備,②地域高齢者の「健康づくりのための身体活動基準2013」充足状況と要介護認定との関連の調査,そして,③地域在住高齢者における中高強度身体活動量の変化に対する関連因子の調査が挙げられる.①に関しては,これまでの追跡調査を昨年度から継続して実施した.加えて,追跡調査データ取得作業の効率化を図るためのプログラム(ソフトウェア)開発を行った.②に関しては,【研究1】および【研究3】の一環として,2011年時点での「健康づくりのための身体活動基準2013」を満たす身体活動(強度を問わず10メッツ・時/週)の充足状況を調査したところ,全ての解析対象者が推奨量を充足していることが分かった.また,対象とする身体活動を3メッツ以上の中高強度身体活動に限定した場合には,約2/3の解析対象者の身体活動量が10メッツ・時/週以上であった.中高強度身体活動を対象とした場合,身体活動量が10メッツ・時/週以上の者において,約6年間の追跡期間における要介護認定率の有意な低下が認められた.③に関しては,主に【研究2】の一環として,2年間の縦断研究データを用いて,地域在住高齢者における中高強度身体活動量の変化に対する関連因子を男女別に調査したところ,男性においては年齢,5m最大歩行速度,飲酒習慣が,また女性においては,年齢,良好な経済状況,趣味,定期的な運動習慣,主観的健康感が,それぞれ2年間の中高強度身体活動量の変化と関連していることが分かった.
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画の通り,追跡調査データの整備を継続して実施することができ,8年間の前向き研究の実現に向けた予定通りの進展を得ることができた.また,当初研究計画における【研究1】から【研究3】の課題に対しても,それぞれ概ね予定通りの進展が得られた.以上のことから,自己点検において本研究はおおむね順調に進展していると評価した.
最終年度である2019年度においては,当初の予定通り9月中に8年間の前向きデータを用いた仮説検証モデルの最終版を構築し,その上で【仮説1】および【仮説2】に対する最終的な検証を実施する予定である.また,その上で,得られた研究知見の早期論文化を進める予定である.
作業進捗の関係上,当該年度の支出費目において人件費・謝金が発生しなかったことが主な原因となり次年度使用額が生じた.この部分については,次年度分として請求した助成金の一部と合わせて,主に人件費・謝金に充てることを計画している.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (34件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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