| 研究課題/領域番号 |
17K09149
|
|---|
| 研究機関 | 国立感染症研究所 |
|---|
研究代表者 |
八幡 裕一郎 国立感染症研究所, 実地疫学研究センター, 主任研究官 (70346956)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
| キーワード | 感染症 / 広域散発アウトブレイク / 公衆衛生対策 / 情報の可視化 / サーベイランス / 疫学調査 |
|---|
| 研究実績の概要 |
広域散発アウトブレイクは国内外で探知が難しく、重症例の発生時に探知されたり、広がりの大きい時点で探知がされたりすることが多い。一方で、アウトブレイクの探知は質の高いサーベイランスの構築により、アウトブレイクの早期探知及び早期対策が重要となる。
我が国では感染症発生動向調査における3類感染症は重症度が高く、広域に散発的に発生する消化器系の感染症が挙げられている。
本研究は国内で実施されている複数のサーベイランスデータ（患者情報、分子タイピングを含めた病原体情報）を集約し、可視化を行い、リアルタイムに迅速なアウトブレイクの探知を行うことで、迅速な公衆衛生上のアウトブレイク対応実施を行うことが目的である。
本研究で初年度に患者情報、分子タイピングの情報及び患者の行動歴や曝露情報に関するデータベースのフォーマットを構築した。今年度は構築したデータベースを用いて可視化のための描画プログラムを作成した。地域での発生分布（空間的発生状況）に関する描画プログラム及び時間的な発生状況は協力自治体の担当者から利用に関する意見聴取を行った。協力自治体の担当者から、アウトブレイクに関する情報は機密性の高い情報であるとの指摘からオープンソースで、機密性の低い物に対する抵抗感があった。また、JavaScriptの利用できない自治体が存在することが判明した。そこで、本研究の解析はSASによる解析プログラムを中心に空間的及び時間的な発生状況に加え、行動歴や曝露情報に関する情報を含めた記述疫学の作成とともに、公衆衛生上の対策への可視化プログラム作成を行うことを目的に実施した。小規模な複数の自治体にまたがるアウトブレイクの探知により、公衆衛生対策のためのツールとして本研究が活用された。今後、複数の自治体にまたがる広域アウトブレイクでの実証を行う予定である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
協力自治体に於いて広域散発事例の発生が無かったが、小規模なアウトブレイク事例での本研究でのシステムを公衆衛生対策に活用したことは成果としてあげられる。一方で、新型コロナウイルス感染症の発生による対策としての緊急事態宣言等で外出自粛、飲食店利用の減少、広域流通などが減少した可能性があり、3類感染症の発生が激減した。それに伴い、実際の複数の自治体にまたがる事例の発生がほとんどなかった。そのため、広域で散発的な発生のアウトブレイク探知や公衆衛生対策実施のタイミングについての検討実施が遂行できない状況であった。
本研究の成果に関して米国CDCや州の担当部門等とのディスカッションを予定していたが、国際的な渡航などの制限があり、実現が出来ていない。
|
| 今後の研究の推進方策 |
協力自治体において、自治体にまたがる３類感染症の広域散発事例の発生を探知した際、協力自治体における発生状況の可視化、疫学調査、解析などを作成したマニュアルやSASにおける解析を利用する。また、実施した研究成果に関して米国のCDCや州の担当部門等とのディスカッションを米国において実施する予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の対策によって複数の自治体にまたがる広域散発事例の発生が全国的に顕在化された事例は無く、協力自治体からは広域散発事例の発生が皆無であった。従って、実際の複数自治体にまたがる広域散発事例での検証が実施できなかった。また、本研究に関して米国のCDCや州の担当部門等とのディスカッションが出来なかった。これらの未実施である計画は次年度実施する予定である。
|
