【ヒトスジシマカ成虫防除範囲の特定】成虫が高密度で休息する場所を特定するために、吸血飛来数が多い地点で、昼間の潜み場所の特徴をパターン化した。本年は、調査時間帯を11:00-15:00の成虫飛翔数が1日の中でも相対的に少ない時間帯に調査を実施した。開発した手製捕虫ゲージを用いて、様々な種類の植物を一定容積覆い、捕獲される成虫数をカウントした。結果は、同じ植物種(例ミョウガ)でも、樹木などの日陰にある場合と、開けた場所にある場合とでは、調査地が近接していても休息成虫数が全く異なること、同じ植物種(例 ツツジ)でも、小道・歩道際と、歩道から離れた場所とでは、歩道際の植生に多い傾向が認められた。成虫は、直射日光の当たらない環境、大きな葉の茂る植物や植物が密に生い茂る環境に高密度で休息していることが明らかとなった。また、ヒトや動物の通る小道・歩道際などの比較的吸血源にアプローチし易い環境を好む傾向も抽出できた。【成虫の走光性を把握】1年目に開発した同じエネルギー量で、同時に3つの異なる波長で誘引実験が行える装置を用いて、2年目に可視光領域(赤、青、緑、白)と近紫外光領域(Uv)で調査を行ったが、殆ど誘引されなかった。本年度は以下の2点を追加して、野外実験を行った。①光源として農業害虫などで効果が検証されているオレンジ色(Amber)LED光源と、白色光で直線偏光フィルターをかけた光源への誘引。②LEDランプの特性を生かした光源を点滅(点滅間隔は3通り)させることによる誘引効果の検証。結果は、同じエネルギ-量であれば、今回用いたAmberを含めた6種類のLED光源間並びに偏光フィルターをかけた白色光源間には、捕獲数で有意な違いが認められないこと、同一エネルギー量の白色LED光源を用いて、点滅間隔を3段階に変えても、捕獲数で有意な違いが認められないことが明らかとなった。
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