現在わが国の医師の働き方は依然として、長時間の時間外勤務や、日勤に次ぐ当直そして翌日勤務などの過酷な状況にある。2016年には、各医療機関における勤務環境改善マネジメントシステムの導入による、勤務環境の改善の実施が医療法に規定された。さらに2021年には、長時間労働の医師の労働時間短縮および健康確保のための措置の整備を行うことが規定された。しかし、医師自身がどのように働き方改革に取り組むのか、また医師自身が希望する働き方はどのようなものなのかについては明らかにされていない。医師は、医療者として常に自ら最新の医学を学び最善の医療を行う中で、教育者として時代を担う医師の育成を行い、さらに研究者として医学的研究活動に関与し、現在および未来の社会に貢献することが期待されている。そこで、大学病院に勤務する専門領域や経験年数の異なる多様な医師の働き方について、臨床・教育・研究・自己研鑽・病院運営などの業務を、実施バランスの観点で自己評価させ、臨床業務のみでなく、医師として働くために必要な自己研鑽や教育および研究をバランスよく実施するためのセルフマネジメントの方法や勤務環境改善策を検討することを目的として、自記入式のアンケート調査を実施した。アンケートの結果では年代ごとに負担と考えている業務に違いがあった。また、負担感のあるものについては改善希望があった。各業務のうち研究業務に関しては自分自身で改善しなければならないとするものが多かった。結果をもとにセルフマネジメントの方法を提示する予定であったが、新型コロナ感染症の蔓延により臨床医師へのインタビュー調査などを進めることができず、現時点で成果報告できていない。
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