研究課題/領域番号 |
17K09169
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
余田 佳子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (80748434)
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研究分担者 |
島 正之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40226197)
大谷 成人 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10561772)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 空気清浄機 / 粒子状物質 / エンドトキシン / 生活環境 |
研究実績の概要 |
空気清浄機使用の有無による家屋内の環境濃度の違いが呼吸器系に及ぼす影響を明らかにするために、環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の参加者を対象に、空気清浄機の使用状況と屋内環境濃度の測定を行い、一般家屋における現状の把握を観察した。 1.質問票を用いて、家屋の状態、空気清浄機の使用の有無、使用している場合は、機種や使用時間、使用中の換気の状況について詳しく調べ、実態を把握した。 2.屋内における粒子状物質濃度は屋外濃度の影響を受けると考えられるため、空気清浄機の効果を正しく評価するために、家屋内濃度だけではなく、屋外でも測定を行った。屋内では普段過ごす時間が長いと思われるリビングルーム、屋外はベランダや玄関先で環境測定を行った。環境測定は、粒子状物質と、エンドトキシンの2種類を測定した。粒子状物質は、ミニポンプ(MP-Σ300N、柴田科学)に微小粒子であるPM2.5と粗大粒子であるPM10-2.5に分級できるインパクターホルダー(ATPS-20、柴田科学)を接続して、1.5 l/minで吸引し、PTFEフィルターに捕集し、粒子の質量濃度を精密天秤で秤量した。エンドトキシンは、ミニポンプにインパクターホルダーを接続して、PM2.5とPM10-2.5に分級して石英フィルターに捕集した。得られた試料は、Limulus Amoebocyte Lysate Kinetic chromogenic assay(リムルス法)によりエンドトキシン濃度を測定した。粒子状物質およびエンドトキシンの捕集時間は、家屋内の状況を断続的に把握するため、5分稼動30分停止を約1週間測定した。本年度は、50世帯の家屋内外の粒子状物質及びエンドトキシンの濃度を測定することができた。屋内PM2.5中のエンドトキシン濃度の平均±標準偏差は、0.38±0.21 EU/m3であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般家庭を訪問して、家屋内での生活環境濃度を測定し、データを収集することができた。測定方法や分析にも問題がなかった。
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今後の研究の推進方策 |
一般家屋50世帯の環境測定データと環境に関する質問票を解析し、空気清浄機の普及率や、使用による効果を検証する。さらに、空気清浄機使用の有無による屋内環境の改善と呼吸器系への影響との関連を明らかにするために、普段空気清浄機を使用していない家庭を新たに募集し、クロスオーバー介入研究を行う。対象家庭を2群に分けて、片方に空気清浄機を使用してもらい、もう片方はフィルターを除いた空気清浄機を使用して4週間過ごしてもらう。その後、空気清浄機を両群で入れ替えて使用してもらう。調査期間中の生活環境測定と肺機能及びFeNO濃度を測定する。屋内環境の違いと、気道炎症等の呼吸器への影響との関連を評価し、空気清浄機の使用が家屋内の環境改善やそれによる健康影響の予防効果を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室の移転に伴い、物品購入に支障が生じたため、次年度に購入することとした。
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