研究課題/領域番号 |
17K09171
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
李 順姫 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70414026)
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研究分担者 |
大槻 剛巳 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40160551)
西村 泰光 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (90360271)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 珪酸曝露 / 免疫毒性 |
研究実績の概要 |
珪肺症患者では、呼吸器病変に加え、高頻度で自己免疫疾患を発症することが知られている。珪肺症例全員が自己免疫疾患を併発するわけではなく、その全容は明らかではない。 本課題は、1)健常人由来末梢血単核球への珪酸曝露による、遺伝子発現、サイトカイン分泌の変動を解析し、それに伴うThバランス、樹状細胞、マクロファージへの影響を細胞膜表面分子の発現変化により同定する。3)実際の珪肺症例由来末梢血単核球と比較検討する。近年、細菌やウィルス感染が自己免疫疾患発症と関わっていることが報告されていることから4)珪酸とToll Like Receptor (TLR)リガンドの混合培養による免疫動態への相関影響も検討する。本課題では、免疫動態の変遷過程を明らかにすることで、多様な「自己免疫疾患」発症、自己寛容破綻のメカニズムの解明を目的としている。 初年度である平成29年度には、健常人末梢血由来T細胞および樹状細胞への珪酸曝露、TLR リガンド添加により変化するmRNA、サイトカインの同定を行った。その結果、珪酸曝露下、ある種のTLRを加えると数種類の炎症性サイトカインの増減が検出された。この増減は珪酸とTLRリガンドの組み合わせで変わることも明らかとなった。 この結果は、珪酸曝露下で異なるTLR刺激が入ると、その応答も変わることを示したもので、外来の異物の侵入(感染)が珪肺症における自己免疫疾患発症へのきっかけになりうるという本研究の仮定を裏付けるものと考えている。 今後、引き続き計画しているマクロファージとの関連を調べ、その培養上清を使って誘導される免疫細胞のポピュレーションを明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度には、樹状細胞とマクロファージと2種類の細胞を用いた実験を計画していたが、樹状細胞の実験条件検討に時間がかかりマクロファージの実験まで出来なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
健常人末梢血由来T細胞とマクロファージへの珪酸曝露およびTLRリガンド添加により変化するmRNA、サイトカインを同定する。遺伝子発現の変化はリアルタイムPCR 法で解析する。また、サイトカイン分泌は培養上清を回収しCBA、ELISA、Luminex などで測定する。さらに、珪酸およびTLRリガンド添加培地で健常人T 細胞とマクロファージ、あるいは樹状細胞を混合培養した時の培養上清でT 細胞を培養した時のT 細胞サブセット構成をフローサイトメトリー(FACSCANTO)で解析する。本実験により珪酸によるT細胞サブセット誘導能の有無を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた実験が滞り、使用予定の薬品、実験キットを当該年度中に使用しなかったため。次年度に使用する予定。
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