本研究の目的は、ナショナルデータを用いて、1)男性と女性の労働者世代における職業別の死亡率の推移のアップデート(2015年)を行うこと(人口動態職業・産業別統計)、2)職業別の健康指標(生活習慣、自覚的健康感等)の近年の推移(国民生活基礎調査等)を明らかにし、健康を高める効果的な対策について検討を行うことである。本研究ではこれまで対象としていなかった女性も対象に含め、近年の社会経済の変化と職業別の健康指標の推移との関連を明らかにし、職業ごとの特徴に応じた効果的な予防策を提案する。昨年度は、ナショナルデータの申請についての準備として、厚生労働省とのやりとりを行いデータを取 得した。今年度はいただいた人口動態職業・産業別統計のデータを解析し、論文の結果として一通りのまとめを行った。 2010年から2015年における社会環境の変化、特に労働者の健康に影響を与えそうな要因などについてとりまとめを行った。2010年から2015年の間にわが国では東日本大震災があったこと、またその後はアベノミクスに代表される用語のように経済再生を目指した取り組みがあった。そうしたことにより、現在の失業率の低下にもつながる経済基盤の活性化があった。 2015年の労働者の死亡データの解析においては死亡率の低下ならびに職業間の格差が減少していることが示された。また癌や脳梗塞、心疾患などの主要疾患における職業間格差についても検討を行い、これらについても論文などが掲載、ならびに投稿中である。
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