本研究はインドネシア国バンテン州における,新生児の健康状態と問題,問題に対する母親や家族の行動,家庭の中で新生児がどのように育てられているのか,を明らかにすることを目的とした(科研申請時にはフィリピン国で実施予定であったが,研究協力者の所属先における倫理申請に一年以上かかることが予測され,以前より研究で協力関係にあったThe state Islamic University of Syarif Hidayatullahの公衆衛生専門家と実施することに変更した。変更については2018年度の報告書に記載済みである)。 2019年4月~6月の3カ月間,質問紙調査を実施した。対象はインドネシア国バンテン州保健センターで出産した母親と児であり,家庭で実施している新生児ケア(どのように子育てを行っているのか),新生児の健康状態と問題,問題に対する母親や家族の行動について家庭の中で新生児をどのように育てているのか,に関する面接調査である。加えて,新生児の出生直後,7日目,30日目の体重・身長計測,新生児の健康状態に関する観察を実施した。 結果,計156名の母親と新生児のデータを得た。インドネシア語で面接調査を実施したことから英語への翻訳,データのクリーニングを経て,現在分析を継続中である。インドネシアには出生後の新生児のケアについて伝統的な考えが根強く浸透しており,同居する家族特に実母や義母の存在が母親の考え方に影響している結果であった。今後,新生児の発達との関係について分析を進める。 本研究はジャワ島に位置し,首都に比較的近いバンテン州の中でも,比較的地方に位置し,妊産婦死亡・新生児死亡が高い地域にある郡を対象地と選択した。本研究の結果を行政官と共に振り返り考察することで,バンテン州における新生児発育・発達の向上,新生児死亡の削減に繋がる施策に反映することができる。
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