研究実績の概要 |
医師供給についてネットワーク理論に基づいた複雑系シミュレーションによる評価を行った。本年度は医師歯科医師薬剤師調査により医師の分布がネットワーク理論であればきたいされるべき乗則にそった分布になっているかを確認したところ、MFICU、NICU、GCU、PICUは病床数及びCT利用患者数はべき乗分布に従い、ネットワーク理論におけるスモールワールド特性を有することが期待される結果になった。この場合に、裾の広い分布になることが期待され、情報の伝達や危機管理対応に優れた分布であることが期待される。そのため、これらの柔軟な運用がコロナウイルスにおける患者数の急増への対応にも貢献したことが期待される。分布の全体にわたりべき乗則が成り立つ場合は限られている。今後は、範囲限定的に成り立つべき乗則について検討する。 研究期間を通しては、複雑系シミュレーションの一つである、システムダイナミクスを用いて要因間のネットワークを構築し、医療政策的介入効果について評価するシミュレーションを、入院高齢者の転倒対策数の増加をテーマに構築し、国際学会で発表した。ヘルスリスクに対して鋭敏な場合、負のフィードバックループが作用し、リスクに対して寛容な場合よりもアウトカム指標が悪化することが示された。(Toyokawa S, Iijima S, Sugiyama T, Nishi N, Takahashi Y: A side effect of fall prevention for inpatient elderlies. The 36th International Conference of the System Dynamics Society, Reykjavík, Iceland, August 6-10, 2018)
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