本研究は分子疫学コホート研究(村上コホート研究、対象地域:村上市、関川村、粟島浦村)の枠組みにおいて、体質を考慮した日本人の認知症の変容可能な要因を解明する前向きコホート研究であり、認知症の一次予防におけるポピュレーションアプローチ及びハイリスクアプローチに資することを目的とする。 本研究の参加者は2011年12月に村上保健所管内の村上市、関川村、粟島浦村に居住する40歳-74歳で、2011-2013年に村上コホート研究のベースライン調査である自記式調査票を提出ししている。認知症の環境リスク要因および遺伝要因を検討するために、ベースライン調査における、基本属性、生活習慣要因のデータや、バイオマーカーが既存情報として利用可能であり、本研究では、医療機関での診療情報から新規認知症診断約260例(うちアルツハイマー病約195例)、要介護認定情報に基づく新規認知症(要介護認知症)約340例をエンドポイントとして収集した。また、ベースライン保存血液検体のあるサブグループのうち約440例について、認知症の強力な感受性遺伝子であるアポリポプロテインE遺伝子の遺伝子多型のタイピングを行った。
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