研究課題/領域番号 |
17K09203
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
藤田 幸司 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 自殺総合対策推進センター, 室長 (40463806)
|
研究分担者 |
山崎 幸子 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (10550840)
藺牟田 洋美 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (60250916)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 高齢者保健 / 介護予防 / 閉じこもり / 外出頻度 / 精神保健 / ライフイベント / 喪失 / 自殺対策 |
研究実績の概要 |
2018年4月~6月に、秋田県A町(高齢化率42.0%)内のB地区に居住する65歳以上95歳未満の2373人のうち、施設入所者を除く2273人を対象に自記式質問紙調査を実施し、1367人から有効回答を得た(60.1%)。調査は健康推進委員による配布、回収は郵送(一部、保健センター持参及び健康推進委員による回収)によって実施した。性別、年齢、メンタルヘルス(K6)、外出頻度、ネガティブ・ライフイベント5項目(①身近な人を亡くした、②自身の大きな病気やけが、③家族の大きな病気やけが、④経済的に厳しい状況になった、⑤自身の役割が無くなった)を用いて解析した。メンタルヘルスはK6質問票により測定評価し、9点以上を「抑うつ傾向あり」とした。ネガティブ・ライフイベントとメンタルヘルス、外出頻度との関連についてカイ二乗検定を行なった。 分析の結果、最近1年間の身近な人の喪失については、「とても辛く将来に希望を持てない」群は、「辛かったが元気を取り戻しつつある」群、「死を受けとめ、普通の日常生活を送っている」群と比較して、ほぼ毎日外出している割合が低かったものの、統計学的に有意な差は認められなかった。自身の大きな病気やけがについては有意差が認められたが、家族の病気やけが、経済的に厳しい状況になった、役割の喪失については外出頻度と有意差は認められなかった。また、ネガティブ・ライフイベント5項目は全て、メンタルヘルスと有意な関連が認められた(p<0.01)。 高齢期のネガティブ・ライフイベントのうち、外出頻度の低下に影響していたのは自身の病気やけがだけでであったが、いずれもメンタルヘルスへの影響が認められた。抑うつ状態やうつ病などの精神障害との関連も含めて、ネガティブ・ライフイベントを経験した高齢者の心理的支援や、閉じこもり予防の支援が重要と考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に行う予定であった調査が本年度の実施となったため、分析および論文化がやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
ベースライン調査の結果については、横断研究として早急に論文化し、学術雑誌への投稿を行う。最終年度は、フォローアップ調査を計画通りに実施し、縦断研究によってネガティブ・ライフイベント曝露のメンタルヘルスおよび外出頻度への影響について明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
業者に委託したアンケート調査の入力作業費が、想定よりも安価であった。また、調査地域の住民に対して、結果をリーフレットにまとめ配布する予定であったが、広報によって結果を還元した。さらに、予定していた国際学会での成果発表が行えなかったために、次年度使用額が生じた。 次年度は、追跡調査を予定しており、調査票等の印刷費、およびデータ入力費、学会誌への論文投稿に係る経費として助成金を使用する予定である。
|