研究実績の概要 |
愛媛県大洲市は、愛媛県南西部に位置し、2009年の人口51,020人(男性24,284人、女性26,736人)であり、年少人口(0歳から14歳までの人口)は15.1% であり、 老人人口(65歳以上の人口)は27.9%である。研究協力者は2009年6月から2011年11月において、大洲市における40歳以上74歳未満のメタボリック症候群に関する 特定健診を受診した者である。われわれは、特定健診受診者を対象に、(1)個人の世帯情報(2)生活習慣質問紙(3)健康関連QOL質問紙(4)山崎らが作成した日本語 版SOC-13スケールアンケート(5)生活習慣に関する現在の喫煙・飲酒の有無を含む独自の質問項目(6)健康診断情報(BMI、血圧、血清脂質、血糖値等)のデータ ベースを作成しており住民の生活状況の断面調査をベースラインとして前向き研究が実施可能となっている。 2019年3月31日の時点で3,600人のベースラインア ンケート回答者は2009年6月1日から2016年12月31日まで追跡された。大洲市情報管理課から提供された住民異動情報(死亡と転出)を用いて生死・転出の有無に ついて把握した。大洲市情報管理課から提供された住民異動情報と本科研の採択により、厚生労働省 政策統括官付参事官付 審査解析室 統計審査係より2009年6月1日から2016年12月31日までの死亡小票を入手し、大洲市の住民異動情報と死亡小票をマッチングさせて、個人特定する。(1)死亡小票、(2)循環器疾 患の新発生情報と2009年から2011年に採録したベースライン情報を解析することによって、SOCが高い住民は健康寿命が高いことを明らかにした。(Journal of rural medicine 15(1):38-43,2019)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大洲市の死亡数にかかる正確な統計を把握し、医療情報と合わせた循環器疾患の発症要因についての疫学的な基礎資料を得るため に必要な情報を入手した。(1)本研究の研究協力者3,416人(男性1,406人、女性2,010人)の年齢階級別人口は40-64歳は1720人(男性762人、女性958人)、65-69歳は858人(男性341人、女性517人)、70-74歳は874人(男性339人、女性535人)である。研究協力者はすべて大洲市国民健康保険加入者である。2010年の大洲市国民健康加入者対象者は全員で10,572人であり、年齢階級別人口は40-64歳5,869人(男性3,025人、女性2,844人)、65-69歳2,256人(男性1,057人、女性1,199人)、70-74歳2,447人(男性1,082人、女性1,365人)であった。(2) 研究協力者は国民健康保険加入者の32.3%(3,416人/10,572人)を代表していた。 研究協力者3,416人(男性1,406人、女性2,010人)の年齢階級別人口は40-64歳は1720人(男性762人、女性958人)、65-69歳は858人(男性341人、女性517人)、70-74歳は874人(男性339人、女性535人)である。 (3) 2010年の大洲市国民健康加入者対象者は全員で10,572人であり、年齢階級別人口は40-64歳5,869人(男性3,025人、女性2,844人)、65-69歳2,256人(男性1,057人、女性1,199人)、70-74歳2,447人(男性1,082人、女性1,365人)であった。 また、研究対象者の年齢階級別割合は40-64歳29.3%(男性25.2%、女性33.7%)、65-69歳38.0%(男性33.2%、女性43.1%)、70-74歳35.7%(男性31.3%、女性39.2%)であった。
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今後の研究の推進方策 |
ベースライン調査は2009年6月から2011年11月において大洲市における40歳以上74歳未満のメタボリック症候群に関する特定健診を受診した者3600人(ベースライ ン集団)の(1)大洲市情報管理課から入手した住民異動情報、(2)厚生労働省統計局から入手した大洲市死亡小票、(3)年次調査を実施している循環器疾患発症登録 情報をマッチングし一元化したデータベースを解析し、SOCが死亡および循環器疾患の新発症に及ぼす効果を明らかにする予定である。愛媛県大洲市情報管理課 から入手した住民異動情報(生年月日、死亡日、性別)および厚生労働省統計審査係より入手した死亡小票(生年月日、死亡日、性別)をマッチングさせることに よって、3,600人のベースライン回答者の死因を特定することができた。また、住民異動情報を入手できていることから人年法により比例ハザードモデルを構築 することができた。2017年までは愛媛大学医学部研究倫理審査委員会の決定通知書において、3,600人の住民異動情報を愛媛県大洲市情報管理課から入手していたが、研究分担者の転出(斉藤功の大分大学医学部へ異動)により、加藤が研究代表者として愛媛大学教育学部研究倫理審査委員会での審査を受けて、教育学部研 究倫理委員会の決定通知書に基づき2019年3月1日に住民異動情報を入手した。なお、2019年4月1日において、2019年5月には、2017年1月1日から2017年12月31日1 年分の死亡小票を入手し住民異動情報とマッチングする。2018年7月に大洲市が西日本豪雨によって大規模水害の被害を受けて、対象住民が被災し転出したため、予定したアンケートを実施することができなかった。大洲市保健センターと相談し、追加のアンケートを実施する方向で調整している。2020年3月の時点で、追跡者3600人の異動情報(在住、死亡、転出)を入手した。
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