研究課題/領域番号 |
17K09204
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
加藤 匡宏 愛媛大学, 教育学部, 教授 (60325363)
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研究分担者 |
山内 加奈子 広島国際大学, 心理学部, 講師 (20510283)
斉藤 功 大分大学, 医学部, 教授 (90253781)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人口動態統計 / 住民基本台帳 / 首尾一貫感覚 / 死因 / 循環器疾患発症登録 / 年齢調整死亡率 / 年齢調整発症率 |
研究実績の概要 |
愛媛県大洲市は、愛媛県南西部に位置し、2009年の人口51,020人(男性24,284人、女性26,736人)であり、年少人口(0歳から14歳までの人口)は15.1% であり、老人人口(65歳以上の人口)は27.9%である。ベースライン調査期間は2009年6月から2011年11月において、研究協力者は大洲市における40歳以上74歳未満のメタボリック症候群に関する特定健診を受診した者である。われわれは、特定健診受診者を対象に、(1)個人の世帯情報・(2)生活習慣質問紙・(3)健康関連QOL質問紙・(4) 山崎らが作成した日本語版SOC-13スケールアンケート (5)生活習慣に関する現在の喫煙・飲酒の有無を含む独自の質問項目 (6)健康診断情報(BMI・血圧・血清脂質・血糖値等)のデータベースを作成しており住民の生活状況の断面調査を実施するとともに、住民の追跡が可能となっている。 3,600人のベースライン回答者は2009年6月1日から2018年12月31日まで追跡された。人口動態統計を用いて生死・転出の有無について把握した。厚生労働省 政策統括官付参事官付 審査解析室 統計審査係より2009年6月1日から2018年12月31日までの人口動態統計を取り寄せることができたことは、SOCの健康寿命に関する効果を明らかにすることができた。教育学部研究倫理委員会の決定通知書に基づき2019年3月1日に異動情報を入手した。愛媛県大洲市情報管理課から入手した異動情報(生年月日、死亡日、性別)および厚生労働省統計審査係より入手した人口動態統計(生年月日、死亡日、性別)をマッチングさせることによって、3,600人のベースライン回答者の死因を特定することができた。また、転出の異動情報を入手できていることから人年法により比例ハザードモデルを構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1994年1月1日から2018年12月31日間の大洲市の脳卒中および心筋梗塞の発症病型分類を確定することができた。25 年間の脳卒中新規発症者のうち,診療記録上の脳卒中罹患者は2,896人であり,発症から受診に至るまでの経過,神経症状,発症後3 週間以内のCT所見から脳卒中新規発症を確認し得た症例は2,614人(90.1%)(男性1,427人,女性1,187人)であった。一方,虚血性心疾患において,診療記録上の虚血性心疾患罹患者は843人であり,発症から受診に至るまでの経過,理学的所見,血液酵素所見,経皮的冠動脈形成術等のインターベンション所見から確認し得た症例は601人(71.3%)(男性389人,女性212人)であった。脳卒中病型分類は,脳出血476人(18%)(男性256人,女性220人),くも膜下出血170人(6.5%)(男性256人,女性220人),脳梗塞のうち穿通枝系脳梗塞1102人(42.2%)(男性256人,女性220人),皮質枝系脳梗塞(血栓型)445人(17%)(男性257,女性188人),皮質枝系脳梗塞(塞栓型)172人(6.6%)(男性96人,女性76人),皮質枝系脳梗塞(分類不能)17人(0.6%)(男性12人,女性5人),穿通枝系と皮質枝系脳梗塞の分類不能232人(8.9%)(男性132人,女性100人)であった。虚血性心疾患の病型分類は,確実な心筋梗塞469人(78%)(男性303人,女性166人),可能性のある心筋梗塞91人(15.1%)(男性60人,女性31人),狭心症41人(6.8%)(男性26人,女性15人)であった。
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今後の研究の推進方策 |
2009年6月から2011年11月において大洲市における40歳以上74歳未満のメタボリック症候群に関する特定健診を受診した者3,416 人(ベースライン集団)の(1)人口動態統計情報および(2)循環器疾患発症登録情報をマッチングし一元化したデータベースを解析し、SOCが死亡および循環器疾患の新発症に及ぼす効果を明らかにした。さらに、2009年6月から2011年11月において大洲市における40歳以上74歳未満のメタボリック症候群に関する特定健診を受診した者3,416 人(ベースライン集団)の(1)人口動態統計情報および(2)循環器疾患発症登録情報をマッチングし一元化したデータベースを解析し、SOCが死亡および循環器疾患の新発症に及ぼす効果を明らかにする予定である。なお、2020年4月1日において、追跡期間が1年延長されることから、2018年12月31日から2019年12月31日1年分の人口動態統計を入手し解析する。また、大洲市における年齢階級別死亡者数を確定することができたので、脳卒中および心筋梗塞の発症登録者数についての年齢調整死亡率および年齢調整発症率を間接法によって計算し、大洲市における脳卒中および心筋梗塞の年齢調整死亡率と年齢調整発症率の年次変化を明らかにする。さらに、40歳から74歳の地域住民においてBMIと健康関連QOL(HRQOL)の関係について検討し、BMI低群(体重不足群)、BMI高群(過体重群)における、身体機能および精神機能について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文執筆と投稿にかかる経費を残した
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