研究課題/領域番号 |
17K09206
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
大久保 牧子 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (20770481)
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研究分担者 |
田口 美喜子 岩手県立大学, 看護学部, 助手 (50468112) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療的ケア / 学校 / 教育委員会 / 医療機関 / 市町村 / 看護師 / 支援体制 / 連携 |
研究実績の概要 |
これまで,医療的ケアを必要とする児童生徒の支援に携わっている学校関係者や保護者等に実態調査を行い,支援内容とシステムの現状や教育保障推進上の課題を明らかにした。また,医療的ケアを必要とする児童生徒の支援に携わった経験がある養護教諭と現在医療的ケアを行っている看護師にインタビュー調査を行った。さらに,学校における医療的ケアを必要とする児童生徒や保護者への支援の現状と支援体制や医療機関等の連携上の課題を明らかにした実績を生かして,病気や障がいがある子どもらを支援する連絡会議「いわてチルドレンズヘルスケア連絡会議」設立に関与した。「いわてチルドレンズヘルスケア連絡会議」では,「医療的ケア児・者」班の責任者となった。そこで,岩手県に,「医療的ケア児・者の状態に応じた柔軟な対応と,保健医療と福祉,教育を加えた関係部局の連携と切れ目のない支援体制の整備等」を提言した。 2021年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(以下「医療的ケア児支援法」)が成立し,同年9月18日に施行された。この法律により,国や地方公共団体は医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を負うこととなった。そこで,研究計画を見直し,2021年度は,市町村が設置している医療的ケア児・者支援推進会議等による医療的ケア児の支援体制の実態調査を実施した。また,実態調査で明らかにした先進的に医療的ケア児の支援を行っている市町村に,医療的ケア児の就園・就学への支援体制についてヒアリング調査実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画では,医療的ケアを必要とする児童生徒の支援に携わっている学校関係者の語りを音声データとして記録し,その後文字データに変換し,質的研究法の分析手法を用いて分析するとしていた。計画通り,研究協力の同意が得られた学校の養護教諭8名と支援員1名,特別支援学校の看護師にインタビュー調査を実施し,データ入力も終えていて,ほぼ予定通りである。しかし,新型コロナウイルス感染症の拡大により,質的研究法の分析手法を用いた分析が計画通りに進めることができず,遅れている状況である。 また,計画した研究が滞っている中で,2021年6月に成立した「医療的ケア児支援法」)によって,各市町村の医療的ケア児及びその家族に対する支援が推進されてきた。このため,研究計画を見直して,支援システムモデルの構築の検討資料として,市町村の支援体制について実態調査を実施した。また,実態調査で明らかにした先進的に医療的ケア児の支援を行っている市町村に,医療的ケア児の就園・就学への支援体制についてヒアリング調査実施した。これらの調査結果をまとめるまでに至らなかったため,遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,医療的ケアを必要とする児童生徒の支援に携わった経験がある養護教諭と現在医療的ケアを行っている看護師からのインタビュー調査結果と,先進的に医療的ケア児の支援を行っている市町村からのヒアリング調査結果を用いて,医療的ケアへの支援システムを検討していく。また,研究成果刊行物を発行し,研究協力校,岩手県教育委員会および各市町村教育委員会,各市町村の障がい福祉課に送付する。さらに,研究成果を関連学会で発表し,参加者からの意見を得て今後の示唆とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入が遅れている文献管理ソフトウエアを購入し支払い手続きを行う。また,研究成果還元用冊子印刷費と,研究協力校,岩手県教育委員会および各市町村教育委員会,各市町村の障がい福祉課への送料に充てる。さらに,関連学会で研究成果を発表する際の参加費,旅費等に充てる。
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