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2019 年度 実施状況報告書

医療・介護に関する事前指示書オンライン登録システムの開発と有効性の評価

研究課題

研究課題/領域番号 17K09208
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

兼松 孝好  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20381824)

研究分担者 赤津 裕康  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00399734)
田中 創始  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (30433220)
正木 克由規  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00365652)
大原 弘隆  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (80285212)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードアドバンス・ケア・プランニング / オンライン・クラウド型
研究実績の概要

本研究では,終末期における医療・介護に関する事前指示(アドバンス・ケア・プランニング:以下ACP)をオンライン・クラウド型の事前指示書に記載し,それを多施設で情報共有する為のシステムを試験的に構築し,評価することを目的とするものである.初年度の計画では,これらのシステム構築を図る事を目標とし,第1段階として,ACPに関する事前指示書をオンラインで登録できるよう,Webシステムの開発を目指した.本システムの主たる利用者は一般者であるが,予備的なアンケート調査により,ACP全般についての理解が不足していた.このため,本システムを利用する際には,ACPそのものの趣旨や意義についても平易な表現で解説し,追加資料などの閲覧により補助できるようなwebコンテンツが必要と考えられた.初年度は,試験的にwebコンテンツを開発し,複数の医療機関の医療関係者によりチェックを受けた後,その後複数の病院を訪問中の一般者を無作為に選出し,試験的に閲覧した後のアンケート調査を実施した.計43名分のアンケート結果が得られ,解析を行った.2年度は,本webシステムを改良したが,利用者の認証確認システムやアクセス制限の管理,さらに保存される個人情報の保管や,利用時の情報漏洩防止システムなどに時間を要した.更に,3年度は本システムの更なる改良を行ったが,その中で利用者に高齢者や認知症患者が多いことから,システムの利用支援者が必要となったが,その為には一定の水準を保つ為に育成システムが必要であると議論され,現在教育カリキュラムを準備中である.本システムは,医療・福祉関係者による情報利用の共有がテーマであるが,本研究に協力して頂ける医療・福祉施設の選定を勧めており,次年度の試験運用に向けて準備を始めている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究計画では,3年度までにACPのオンライン・クラウド型登録システムを開発し,運用システムまで構築完了する予定であったが,現時点ではまだ開発途中であり,構築にまでには至っていない.本研究において最も重要な鍵となる,アドバンス・ケア・プランニングに関するwebコンテンツを構築するにあたり,利用者の利便性と個人情報保護が対立することが分かり,本システムに個人情報を保存する利用者や,保存された個人情報にアクセスする利用者の間で,要求するセキュリティレベルに大きな差があることが判明したため,その調整に更に時間を要している.利用者の中には,高齢者であったり,認知機能低下症などが背景にあることが多く,一定の支援者によるシステム利用支援が必要であることが判明したが,webシステムの構築のみではなく,それを入力支援できる一定のスキルを持った支援者が必要であり,研修などを課すことで,その質を担保し育成する必要があることも判明した.このため,webコンテンツの開発とシステム構築の他に,新たに入力支援者の教育プログラムを準備する必要が生じたことで,その運用開始が大幅に遅延した.更に,年度後半にCOVID-19による緊急事態宣言により,対面様式によるwebシステムの試用や,教育プログラムなどが実施できなくなり,研究の実施が困難となったことで,研究の進捗がさらに遅延した.
本研究に必要な,アドバンス・ケア・プランニングのweb利用者の選定や,その情報を利用する予定の医療・福祉施設側については,協力施設やその責任者の選定を済ませ,今年度中に,webシステムの本稼働と,試験利用の開始ができるように再調整中である.

今後の研究の推進方策

初年度に開発・実施したACPに関するwebページの調整を行うと同時に,3年度までに検証した本システムの安全性の検証とアクセス制限方法などについての検討を元にして,本年度中にアドバンス・ケア・プランニングに関するオンライン・クラウド型登録システムの開発を終了し,1次試験運用を行う予定である.また,本システムを利用する1次利用者を支援する為の支援者育成の為の教育プログラムを開発・実施し,一定の水準で支援ができるような支援システムの構築も行う予定である.

本システムを主に利用する1次利用者については,名古屋市立大学病院総合内科・総合診療科に入院される高齢者を主な対象として選定を行う為,IRB申請を行って,利用が可能な環境整備を行う予定である.また登録情報を利用する医療・福祉施設については選定を終了しており,webシステムの運用開始と同時に登録し,試験利用が可能な様に準備をしている.今後は,システムの試験運用の速やかな開始を図り,利用者および利用支援者からのアンケート調査を行い,その有用性の評価とリスク抽出を更に行う予定である.また,リスクを回避する為に必要な用件を整理するとともに,その達成の為に,利用支援者の育成システムの寄与が不可欠であるかどうかも検証する.

利用支援者の育成システムは,今後ACPをより確実に支援できるような一定の資格保有者の育成にもつながると予想される為,資格用件や必要な教育内容についても検討を重ね,結論を得る予定である.

次年度使用額が生じた理由

研究計画では,3年度までにACPに関するオンライン登録システムの構築までを終了する予定であったが,研究の遅れによりwebページの作成について業者との委託契約が完了していないため,3年度の経費の大部分が未使用のままになった.また,webシステムの運用後にシステムサーバーを準備するため,サーバー用のパソコン設備も今年度に購入する予定である.このため,本研究では,webコンテンツ製作の業者委託分とシステムサーバーの購入・保全管理料がが研究費の多くを占めるため,未使用額が大きいが,今年度中に契約を完了する予定であるため,3年度までの未使用分と合わせて,研究計画を予定通りに進めて,使用する予
定である.

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公開日: 2021-01-27  

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