研究課題
近年のNCDsの増加は著しく、2015年WHO報告によると全世界で毎年3,800万人の死亡がもたらされ、その半数近くが70歳以下であると報告されている。WHOの目標であった2030年までに70歳以下の死亡を40%軽減するという目標は、その達成が困難であることがすでに指摘されており、その軽減のための効果的施策がLANCET誌にみられるように、世界的に検討されている。このためには壮年期と高齢期の2つのライフステージでの血糖や脂質代謝等のコントロールが重要となっている。申請者らはこれまで、NCDsの重要なリスクである糖尿病やMetSに着目し、血糖や脂質代謝等のコントロールによる予防や病態改善のためのライフスタイル改善プログラムを開発し、その効果の評価を、無作為化比較試験(RCT)やメタアナリシスにより検証し、そのエビデンスを高めてきた。本年は昨年度に課題として残されていた多変量ネットワーク・メタアナリシスの実施に際しての整合性の問題について検討した。これをふまえつつ、引き続き、2型糖尿病発症率と負荷後2時間値の2つをoutcomesと関して、ライフスタイル、食事療法、運動、または薬物療法の介入および標準治療またはプラセボを対照介入として捉え、ベイジアン・ネットワーク・メタアナリシスを実施した。その結果からは、間接比較による他の治療法と比較したライフスタイルの効果は有意ではなかったものの、ライフスタイル介入は標準およびプラセボ介入と比較して2型糖尿病発の発症を低減し、その予防において他の9つの治療と少なくとも同じくらい効果的であることが分かった。以上の結果を論文としてまとめ、欧文誌に発表した。NCDsとしてはこのほかの疾病に関しても検討する必要があり、それを次年度の課題として1年間の延長することにより達成したい。
3: やや遅れている
学会発表および論文として多変量ネットワークメタアナリシスの結果を発表することはできたが、方法の検討に時間がかかり、幅広くNCDsとして捉えた研究の実施についてやや遅れている。
本研究では糖尿病などの代謝性疾患での多様なoutcome指標と投薬・治療・教育などの多様性という特徴を考慮して、ネットワーク・メタアナリシスの手法をさらに検討し、またNCDsとして他の疾患なども含めてRCT研究対象とした文献レビュー・分析も継続する。さらにライフステージ別Inconsistencyを考慮した多変量ネットワーク・メタアナリシスの方法論の検討を継続して行う予定である。
旅費は、海外学会での発表者が予定より少なくなったためと学会からの補助を受けため差異が生じた。また、英文校閲なども大学からの研究費で賄えたため差異が生じた。人件費・謝金に関しては次年度では有効的に使用する予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件)
Clinical Breast Cancer
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