研究実績の概要 |
近年のNCDsの増加は著しく、2015年WHO報告によると全世界で毎年3,800万人の死亡がもたらされ、その半数近くが70歳以下であると報告されている。WHOの目標であった2030年までに70歳以下の死亡を40%軽減するという目標は、その達成が困難であることがすでに指摘されており、その軽減のための効果的施策がLANCET誌にみられるように、世界的に検討されている。このためには壮年期と高齢期の2つのライフステージでの血糖や脂質代謝等のコントロールが重要となっている。 本研究ではNCDsの重要なリスクである糖尿病に焦点をあて、これまでに実施されたシステマティックレビューに基づき、RCTを対象としたアンブレラ・メタアナリシスにより壮年期と高齢期の2つのライフステージで統合した分析を行った。全データを用いた場合、および、年齢を壮年期(40歳代以下)と高齢期(50歳代以上)、年齢未記載に区分した場合について、ライフスタイルとその他の介入要因についてオッズ比を求めた。効果の指標は相対危険度(RR)とした。分析の結果、7メタアナリシス、144RCT論文のアンブレラ・メタアナリシスを実施した。主な項目としてライフスタイル介入(66研究、45878人)の統合オッズ比は0.65(0.53-0.80)で、メトフォルミン(8研究、5847人)の統合オッズ比0.71(0.64-0.78)となった。ライフスタイルに関しては年齢区分の差が若干みられ、全体では0.65に対し、いずれも有意ではなかったものの壮年期では0.82、高齢期では0.79であった。しかしながら、年齢区分を50歳代以下、60歳代以上で区分するとこの傾向は逆転していた。なお年齢未記入では0.53であった。高齢期に比べ壮年期で効果がやや低めに推定されたが、年齢区分による相違もあり、これらの影響については更なる検討が必要である。
|