研究課題/領域番号 |
17K09217
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
西山 利正 関西医科大学, 医学部, 教授 (10192254)
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研究分担者 |
下埜 敬紀 関西医科大学, 医学部, 助教 (40632625)
神田 靖士 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70295799)
三島 伸介 関西医科大学, 医学部, 助教 (70454618)
吉川 みな子 京都大学, 総合生存学館, 特定准教授 (70636646)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | デング熱 / ネッタイシマカ / ベクターコントロール / 蚊幼虫発育阻止剤 / ELISA / 抗デングウイルスIgG抗体 |
研究実績の概要 |
研究計画の2年目となる平成30年度は野外調査を雨季(10月)と乾季(2月)の2回、蚊幼虫発育阻止剤(以下、発育阻止剤)の配布を雨季前(6月)、雨季(10月)、乾季(2月)の3回実施した。 介入村における発育阻止剤の配布については、前年度の2月に世帯に設置している全ての貯水容器に発育阻止剤を投入したが、雨季が本格的に始まる6月にも介入村を訪問し、設置している貯水容器に発育阻止剤が投入されているかどうか確認し、2月以降に新たに貯水容器を設置するなどの理由で発育阻止剤が投入されていないものについては、この時点で発育阻止剤を追加投入した。その後、10月および2月においても発育阻止剤を設置している全ての貯水容器に投入し、予定通り、1年を通した発育阻止剤の投入による介入を実施することができた。 野外調査では、発育阻止剤を配布する介入村と配布しない非介入村のそれぞれにおいて、村民約50名ずつからの採血を実施することが出来た。また蚊の分布調査は、1年目と同様に幼虫の分布調査のみを実施することとし、両村それぞれ約30世帯の水甕やコンクリートタンクなどの貯水容器全てについて実施し、解析を行った。その結果、介入村は非介入村と比べてネッタイシマカのHouse Index, Conteiner Indexが統計的に有意に低い値を示し、発育阻止剤によるネッタイシマカのベクターコントロールが効果的であることが示唆された。 血清調査に関しては、今後10月と2月に採血した検体を用いて、両村の研究参加者の抗デングウイルスIgG抗体陽性率をELISA法にてそれぞれ45名ずつ測定・解析し、前年度との比較を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蚊媒介性ウイルス疾患の流行期(10月)および非流行期(2月)の2回実施することができた。研究参加者の血液検体採取に関しては、対照村の流行期(10月)の調査では一部研究参加者の同意が得られなかったため、採取サンプル数は予定よりも少ない結果となったが、これ以外では、予定通り行う事が出来た。各世帯における蚊の幼虫の分布調査および蚊幼虫駆除剤配布も計画通り実施することができた。また、研究参加者の抗デングウイルス抗体陽性率のデータは、まだ得られていないが、ELISAキット等は準備済みであるため、問題無く得られる見込みであり、全体的に概ね計画通りに順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は流行期の開始時(6月)に、蚊幼虫駆除剤を配布する介入村において、各世帯が設置している貯水容器の蚊幼虫駆除剤の設置状況を確認する。駆除剤が設置していない容器については追加で投入し、全ての貯水容器で設置する。また、前年度と同様に、流行期の終わりの10月および非流行期の2月に野外調査とELISA法による抗デングウイルス抗体保有率の解析を実施する。さらに、カムワン県保健局やカムワン県病院にヒアリング調査を行い、カムワン県における蚊媒介性ウイルス感染症の流行状況についてのデータを収集する。以上より、これまでの結果とあわせて介入村と非介入村における蚊の分布状況および抗デングウイルス抗体保有率のデータ解析を実施し、蚊幼虫駆除剤の介入による効果についての最終的な評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラオスにおける調査時、為替レートによって予定していた金額より差額が出たことにより、わずかであるが残金が発生した。 次年度にこれを組み込み、ラオスにおける調査費用とする。
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