研究課題/領域番号 |
17K09221
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森 寛子 京都大学, 医学研究科, 研究員 (50719424)
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研究分担者 |
戸原 玄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00396954)
中根 綾子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (30431943)
内藤 真理子 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (10378010)
石崎 達郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (30246045) [辞退]
中山 健夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (70217933)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 摂食嚥下リハビリテーション / 家族介護者 / 在宅患者 / 経口摂取 |
研究実績の概要 |
本研究は、継続的摂食・嚥下リハビリテーション(摂食リハ)による経口摂取改善の実態とその関連要因を解明するとともに、私たち研究班が質研究によって構築した仮説「経口摂取改善は在宅介護者の心理的支援を促進し、介護によって希薄化した社会との接点を活性化させる」の検証を目的として着手された。摂食リハの初診時を起点とする1年間の前向きコホートを作り、介護者の質問票調査5回と摂食嚥下リハ実施の歯科医による患者の嚥下変化を評価する研究デザインを構築した。研究対象者は、65歳以上の嚥下困難な在宅患者とその家族介護者に焦点化したが、平成27年の介護報酬改定により、介護施設での摂食リハが臨床現場で増加したと思われ、研究協力者は伸び悩んだ。 この状況を鑑み、平成30年度に研究計画の再構築を行ない、2つの点を変更した。まず、コホート研究の研究対象者参入基準から、65歳以上という限定を排した。次に、関連要因を明らかにすることを目的に、すでに複数回の摂食リハを受診している在宅患者の介護者に対する横断研究を、初診患者のコホート研究と並行して実施することとした。横断研究の患者嚥下状況の変化は、訪問担当歯科医師により抽出した初診時のカルテ記載情報と研究協力時の嚥下評価を用いて評価データとした。 R2年度はコホート研究と横断研究のデータ収集を行うとともに、H27年介護報酬の「経口維持加算」改定による施設での口腔ケア提供の構造的変化について、国際医学雑誌への投稿準備を行った。けれども、R2年3月からのCOVID-19の影響を受け、在宅訪問での摂食リハは診療中止となり、データ収集も中断を余儀なくされた。診療再開後も、初診患者への研究依頼は患者側の心理的抵抗も強いことが予想されたが、R2年度末現在のサンプリング数は、コホート15名、横断研究55名となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の影響により在宅訪問による摂食嚥下リハビリテーション診療が中止されたこと、さらには初診時のコホート研究協力依頼は、「コロナにより過敏になっている家族介護者を刺激するため、本来の診療への影響がある」との理由で2つある研究フィールドのうち1つから研究協力の辞退を受けた。また、毎年本研究の進捗状況を発表している日本摂食嚥下リハビリテーション学会の開催が中止され、研究報告を行う機会を失した。
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今後の研究の推進方策 |
コホート研究のサンプリングは、R3年秋までを一区切りとする予定である。また、横断研究は、研究フィールドのうち1つは、当該施設の受診者に研究依頼とデータ収集を終了している。もう一つの研究フィールドでのデータ収集の進捗に留意しつつ、本年度後半には解析に着手する予定である。 R3年度の学会発表は、国内学会1報告、国際学会1報告を準備している。また、介護報酬「経口維持加算」改定による施設での口腔ケアの構造的変化に関する英語論文を執筆し、国際医学雑誌への投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の成果を発表する学会が相次いで中止となったこと、データ収集が遅延していることが、次年度使用額が生じた理由である。 R3年度使用計画は、データ収集に関する通信費10,000円、国際学会、国内学会計2つの学会発表経費として100,000円、および、英文校正に100,000円、国際医学雑誌掲載料として250,000円を使用する計画である。
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