研究課題
2015年3月の麻疹排除達成以前のアウトブレイクでは、麻疹患者の殆どがワクチン未接種者であったが、排除達成以降、ワクチン接種歴を有する患者の割合が増加している。しかしそれらの患者がprimary vaccine failure (PVF)か、secondary vaccine failure(SVF)かは依然として明らかではなく、これらVaccine failureの患者からウイルスが伝播が成立するのかについての詳細な情報はなかった。本年度の研究では、大阪府内で発生した特徴的なアウトブレイク事例の解析を行なった。2018年末に大阪府内で発生した麻疹アウトブレイクでは、index caseに2回のワクチン接種歴があった。本アウトブレイクで麻疹陽性患者の検体(n=10)について、麻疹特異的IgM およびIgG抗体とそのavidity、Plaque Reduction Neutralization Test (PRNT)による中和抗体価を指標に解析を行った。index caseはMMRおよびMRの2回のワクチン接種歴を有し、発症後12日後のIgM抗体: 2.21、IgG抗体: >5,000IU/mL、avidity: 96.3%、PRNT: 425,590mIU/mLであり、発症後比較的早期に強い抗体誘導がみられたSVFであったが、感受性者であった同居家族3名(ワクチン接種歴なし、発症後0-2日時点の麻疹特異的IgG: 陰性-判定保留)に感染伝播し、それらの患者から医療機関での3次感染(6名)が生じたことが明らかになった。本解析によりワクチン接種歴があるSVFの患者で、感染早期に特異抗体が強く誘導される事例でも、感受性者には麻疹を感染伝播しうることが明らかになった。(Kurata et al. 2019. Vaccine)
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Vaccine
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