研究課題
【目的】我が国では病院機能分化及び集約化が促進されているが、状態が安定した患者でも大病院を受診する実態がある。本研究では、外来診療を中心とする疾患である慢性関節リウマチ(以下、RA)患者に焦点をあて①RA患者の抽出ロジックを開発し、②状態安定患者の大病院受診と地域医療提供体制の関連を明らかにした。初年度から2年度は、(1)RA患者の特定手法の開発、(2)RAの状態安定患者の同定手法の開発を行った。最終年度では、開発したRA患者抽出ロジックを用い、(3)多施設データにより状態安定患者の受診に影響する要因を検討した。【方法】(3)の分析対象は、DPCデータ調査研究班参加病院2016年4月~2014年6月に外来受診し、既に開発したロジックで抽出したRA患者である。①DPCデータ、②平成30年医師、歯科医師、薬剤師調査、③平成29年患者調査を使用し分析した。解析方法は、まず病床規模別の安定患者率を算出し、次に、安定患者割合を従属変数、病床数、リウマチ診療所医師数割合等の医療提供体制に関する独立変数を設定し重回帰分析を行った。【結果】RA外来患者が存在し、10症例未満の施設及び200床未満の施設を除外した426施設を分析対象とした。「200-399床」、「400-599床」、「600-799床」、「800床以上」も安定患者の割合はばらつきを認め、「800床以上」と「200-399床」、「600-799床」「600-799床」で有意差を認めた。また、病床規模は安定患者割合に影響し、「800床以上」の施設は安定患者の受け入れが7.83%減少に、「600-799床」では6.48%減少に寄与していた。【考察】大規模医療機関は安定患者の受診が抑制的に働いており病床機能分化の効果が得られていと言える。【結語】より一層の病床機能分化を進めていく上では、診療所のニーズベースの検討が必要である。