研究課題/領域番号 |
17K09230
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
藍 真澄 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 教授 (00376732)
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研究分担者 |
石岡 淳一郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (10596878)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 社会保険医療システム / 教育システム |
研究実績の概要 |
当初の研究計画として、3年間の研究期間で、全国の医科大学および医学部における社会保険医療システムに関する教育状況について実態調査を行う。同時に初期研修を行う臨床研修指定病院での保険診療教育の現状について実態調査を行う。また、海外における医療システムに関する教育についても調査研究を行う。特に保険制度が医療を制約する中華民国(台湾)の教育の実情や、保険契約が医療を制約する米国のmedical schoolにおける経営教育について現地調査を行う。問題点を検討し解決策としての教材開発を行う。教育ツールは最終的にweb教材の作成を目指すこととした。 初年度となる平成29年度には、全国の医科大学および医学部における社会保険医療システムに関する教育状況について自記式アンケート調査を行った。また、同時に初期研修を行っている臨床研修指定病院での保険診療教育の現状について自記式アンケート調査を行った。いずれにおいても、社会保険医療システムに関する教育には時間や教材が不足しているという認識であった。また、海外における医療保険システム教育についての調査として、米国における卒前、卒後の経営教育および医療保険教育について、文献調査を行うとともに現地にてヒアリングによる調査を行った。実際の米国での保険教育は、卒前ではほとんど行われておらず、卒後それぞれの専門分野での臨床実務において習得されており、系統的な教育システムや教材が存在するわけではなかった。医師にとっては、自分が専門とする領域のmedical costや保険償還のルールが把握できていれば良いことになり、殆どの場合医療機関の事務担当者が全ての手続きを行うことで医療現場で問題となることは殆どないのが現状であった。診療記録に診療報酬の算定要件としての記載事項を求める規定がそもそもないことから、日本国内とはかなり環境が異なることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、1年目に実施することとしていた、全国の医科大学および医学部における社会保険医療システムに関する教育状況について実態調査、初期研修を行う臨床研修指定病院での保険診療教育の現状について実態調査を行った。いずれの調査についても有効回答率は30%超であり、郵送形式の自記式調査としては高い回答率であった。また、その回答についての一次解析は平成29年度中にほぼ完了しており、次年度の研究計画に速やかに移行できる状況である。また、海外における医療システムに関する教育についても、予定通り、保険契約が医療を制約する米国のmedical schoolにおける経営教育、医療保険教育について、現地でのヒアリングを行うことができた。問題点を検討し解決策としての教材開発を行う。教育ツールは最終的にweb教材の作成を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ予定通りの研究進捗状況であり、当初計画どおり平成30年度においては、前年度に実施したアンケートの結果解析を進め、具体的な問題点を抽出し、改善方策の考察については、必要に応じて追加調査を実施する。また、中華民国の医療保険制度は我が国に比べて遥かに規制が強く、規定通りでなければ医療機関に診療報酬が支払われないシステムとなっている。保険制度によって医療そのものが強く規制される環境において、保険医療教育がどのタイミングで、実際にどのように行われているのか、現地調査とともにヒアリングを実施する予定である。現地調査については、平成30年度中に実施できる予定となっている。これらの基盤のもとで、申請者の著作を土台として、より医学生および初期研修医のニーズにあった標準教材を試作する。平成30年診療報酬改定については、本研究が目指す教育システムの観点ではそれほど大幅な改定ではなかったことから、当初計画では、改定内容の吟味に時間を要することを想定していたため、一旦平成28年度の内容で試作教材を作ることとしていたが、直接平成30年改定後の内容で教材作成することに問題がないものと判断し、これを平成30年度第2四半期には開始する予定である。その後、web教材の作成に着手し、昨年度のアンケート調査で試作教材の試行に協力を申し出ていただいた医療機関等の協力を得て、平成31年度にかけて改善を重ねる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査研究のための旅費が当初予定より安価であったことと、アンケート調査の郵送費が後納となっており次年度使用額が生じたが、実質的には後納分としてすでに支出予定である。
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