当初の研究計画どおり、3年間の研究期間で、社会保険医療システムに関する教育状況について実態調査を全国の医科大学および医学部、初期研修を行う臨床研修指定病院で行い、海外における医療システムに関する教育についての調査研究を行った上で問題点を検討し、解決策としての教材開発を行った。教育ツールは最終的にweb教材を作成した。 初年度に行った保険診療教育の現状に関する調査結果の解析を進めた結果をまとめ、論文として発表した(新薬と臨床2020年2月掲載)。 平成31年度(令和元年度)においては、平成30年度に開始した標準教材の試作を継続し、完成させた。コンテンツを作成し試用と修正を行ったのち、web教材を作成し、初年度の実態調査時に協力していただいた医科大学、医学部、及び医療機関向けにweb上で公開し、試用していただいた。最終的に令和2年4月の診療報酬改定に関する厚生労働省令、告示、通知の影響を確認し、大幅な変更の必要性がないことを確認した。教材の内容としては、前年度までの検討から、臨床医の日常業務と社会保険制度の関連に重きをおいたものとした。現在の医療保険制度において、診療録記載が診療報酬請求上の根拠となる項目が多くある。少なくとも保険医が記載要件を把握していることが適切な保険診療および診療報酬請求の遂行に不可欠である点を踏まえた教材作成を行った。また、受講者の理解度を確認するための設問を用意した。東京医科歯科大学内での試行とそれに基づく修正を図った上で、web教材内に実装した。ランダムで出題される形式とし、正答と解説を表示するようにし、各施設においても受講者の成績管理ができる形式とした。なお、新型コロナウイルス感染症の影響で令和2年度の入植者オリエンテーションが対面でできなくなったため、本学医学部附属病院では本教材を活用した。
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