研究課題
『地域連携クリティカルパス』をその地域での標準治療のプロトコールとして利用し、その標準治療を広く啓発していくことは、地域の医療レベルそのものを向上させる効果をもたらし、ひいては、患者の生存率や地域の健康の指数を引き上げる可能性があると言われている。本研究の目的は、このような地域連携クリティカルパスをどのように作り運用すれば、実際に罹患患者の生存率まで変えることが可能となるのか、その手法のモデルケース開発を目指すものである。2019年度の主な実績は下記のとおりである。1.岐阜地域において、検討された統一的な肝炎・肝がんの地域連携クリティカルパスによって、肝炎・肝がんの専門医でなくても、専門医と同等の医療レベルが維持できることを証明するため、中間アウトカムによる差を出し、どのように地域連携クリティカルパスの有効性を証明していくか検討を行った。また、専門医でも専門医でなくても同じ医療が展開されているということを中間アウトカムによって証明し、逆に地域連携クリティカルパスを使用しない非専門医との間に診療の差を見出し、最終的なアウトカムの差を出す根拠を検討した。2.データに基づくパス再設計の検討本研究から出てきたデータをできるだけ迅速に解析し、それを現場の医療にフィードバックする方法を検討した。一つは、既存の地域連携クリティカルパスの不十分な点を指摘し、改善すべき項目の洗い出しに利用する方法を検討した。また、将来的には、地域で集めたデータを地域の医療を改善するためにどのように活用していくかについて検討を進めている。