研究課題/領域番号 |
17K09242
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
谷川 琢海 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (40446539)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 将来推計人口 / 患者受療行動 / 医療機能 / 地理情報システム |
研究実績の概要 |
本研究は、経時的な人口動態の変化と、交通等の社会的条件に基づくシミュレーションを通して、将来に向けた最適な医療資源の配置を明らかにすることを目的としている。 平成30年度は、最短路解析モデルを用いて、一定条件のもとで医療資源の最適配置の分析を行うことと、包絡分析法を用いて二次医療圏を単位として医療資源の効率的な使用が期待される地域を明らかにすることを計画していた。 今年度は将来推計人口から幾つかの疾患について将来の患者数を推計し、患者のアクセシビリティの観点から医療資源の最適配置について分析を行った。この結果については、第22回日本医療情報学会春季学術大会において、北海道における将来推計人口メッシュを用いた医療資源の最適配置を分析した結果を報告し、既往研究との比較を通して、 既往研究における同モデルによる結果とも概ね一致することを示した。また、第38回医療情報学連合大会では、北海道における疾患別の将来推計患者数に基づく医療施設の適正配置を分析した結果を報告し、施設数ごとの60分以内で医療機関に到着できる患者の割合を示したうえで、疾患別の将来推計患者数は、配置する施設数が経営面で持続的に維持できるかを全体として判断する指標になりうることを示した。 最大移動時間が数時間に及ぶ地域においては、および最低限の医療水準を保つためのICT技術を活用した在宅医療や遠隔医療の充実、救急車を配置する際の工夫などが必要となる。今年度は遠隔医療の導入についてコスト最小化分析を通じて、遠隔医療のうち遠隔放射線診療の導入が妥当な地域についても検討を行い、この結果を論文にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、二次医療圏を単位とした医療資源・医療機能が医療費抑制の観点から将来に渡って妥当であるかどうかを分析し、適切な医療資源の配分について検討を行うことを予定したが、患者受療行動推計データの準備に時間を要しており、包絡分析法を用いた解析を行うまでに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年となるため、患者受療行動推計データの準備を着実に行い、必要となるソフトウェアやデータの準備をあわせて行うほか、学会や論文発表の準備も平行して行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析の進捗が若干遅れているほか、購入を予定しているソフトウェアとデータの中身の検証に時間が掛かっているため、購入が遅れ、次年度使用額が生じた。次年度が最終年度であるため、進捗管理を十分に行い、適切な執行を行う。
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