少子高齢化による人口減少が進むなか、過疎化が進む地域では医療資源の減少に伴う医療機能へのアクセシビリティの低下が懸念されている。一方で、団塊の世代の医療需要が高まるため、一時的に医療資源が不足する恐れがあるとの指摘もある。この動きは人口構造の地域差による需給バランスに依存し、地域や時期によってダイナミックに変化する。我々はこれまでGISを用いて北海道における患者受療動向分析を行ってきた。本研究の目的は、経時的な人口動態の変化と、交通等の社会的条件に基づくシミュレーションを通して、我が国で問題となっている医療費抑制の観点から今後に向けた最適な医療資源の配置を明らかにすることである。 本研究では、平成29年度に将来人口推計データおよび過去に行なわれた受療行動調査データから患者受療行動データに基づいて、北海道における患者受療行動と人口動態、社会的条件のデータベースを整備し、医療GISに基づいた未来の医療需要と医療資源との分布の可視化を試みたのち、平成30年度以降には前年度の研究によって得られた患者受療行動推計データに基づき、医療資源(医療従事者・医療施設・医療機器など)の配分に関する分析を最短路解析モデルや包絡分析法(DEA)によって行い、医療費抑制の観点から医療資源の最適配置と資源利用の効率性の検討を行うこととしていた。令和2年度は研究機関を延長して、全体の結果のとりまとめ等を行った。
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