1.薬局薬剤師への情報伝達の積極性を促進する要因を探索するために、薬局薬剤師からの質問に対しネガティブな感情を抱いた12名と、積極的に情報提供する者12名を対象に、インタビュー調査を実施した。患者から積極的に薬剤師に情報を伝え、相談したいと思われるには、1.定型的な質問/説明ではなく「疾患に対する患者の気持ちに配慮した」「個人にフォーカスした」聞き方/伝え方、2.「薬剤師による処方内容の監査」「情報蓄積」など薬物療法への薬剤師の寄与が患者に認識される取組などが必要とわかった。 2.薬局定期来局患者(540名)を対象とした調査票調査から、患者から薬局薬剤師への情報伝達促進要因を検討した。初回患者質問票に含まれる内容を薬局薬剤師に質問された場合、半数以上の者が積極的に情報を伝える意思を有していた。一方、薬物治療に関する医師からの説明内容や病気の経緯、薬に関する不安や相談、血液検査の結果、いつもと違う症状については、積極的に伝える意思を有する者は半数以下であった。これらの情報の提供を促進する患者側の要因は、薬剤師に対する信頼や医療人としての認識、薬局薬剤師の業務の理解等であった。情報提供を促進する方策として、薬剤師に対する信頼感や薬剤師の薬物療法への寄与に関する認識の向上に繋がる啓発が有用と考えられた。 3.薬局薬剤師への情報提供に関する患者積極性の評価指標として、6項目(薬物治療に関する医師からの説明内容、薬に関する不安や相談、血液検査の結果、いつもと違う症状等)から構成される調査票の妥当性及び信頼性を検証した。 4.映像及びチラシのプロモーション資材(内容:薬剤師は患者から得た情報に基づき処方内容の適正性の評価を行い、医師への疑義照会を行うことで、薬物療法の適正化や安全性向上に寄与している)の効果について、薬局(映像群、チラシ群、対照群各5店舗)において実証研究を実施した。
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