研究課題
本研究の目的は診療報酬改定が医療生産性・効率性に及ぼす影響を定量的に評価することで、医療生産性・効率性向上の方策を探索し、国民皆保険制度の持続可能性を確保することである。日本の国民皆保険制度は、超高齢社会の到来とともにその持続可能性が疑問視されている。現行制度を維持するには場当たり的な医療費抑制政策のみでは不十分で、医療の生産性・効率性向上が日本にとって焦眉の課題である。そこで、本研究では経営学的手法を駆使することで、診療報酬改定が医療の生産性・効率性に及ぼす影響を定量化し、医療の総要素生産性変化を評価した。この結果から、医療の生産性・効率性向上の方策を探索し、急性期病院医療の直面する諸問題の解決を目指した。具体的には手術医療効率性・生産性に影響する因子(診療報酬・経験年数・雇用期間・病院収入など)を3年間かけて総合的に評価した。その結果、①診療報酬制度は手術医療効率性・生産性に影響する、②手術医療の効率性は病院収入と正の相関がある、③技術的効率性の高い外科医は大学病院での雇用期間が短い、といった知見を得た。このように医療効率性・生産性に影響する因子はさまざまであり、診療報酬改定のみによって達成されるものではないことが発見できた。多様な因子をさらに分析することで、その相互作用や交絡因子を発見することが期待される。最適な形での医療効率性・生産性向上を目指すことが今後の課題として存在することも分かった。
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International Journal of Health Care Quality Assurance
巻: 32(6) ページ: 1013-21
INQUIRY: The Journal of Health Care Organization, Provision, and Financing
巻: 56 ページ: 1-6
10.1177/004695801988443