研究課題/領域番号 |
17K09249
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
井野 恭子 椙山女学園大学, 看護学部, 講師 (30399240)
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研究分担者 |
鈴木 浩美 西武文理大学, 看護学部, 講師 (00554700)
佐藤 晶子 椙山女学園大学, 看護学部, 助教 (20593510)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | EPA看護師 / 就労実態 |
研究実績の概要 |
本年度は、外国人労働者が就労する病院施設に対し質問紙調査を行い、外国人労働者の就労状況の全体像を把握する計画であった。実際には外国人労働者の内、看護師国家試験に合格したEPA看護師の就労実態を調査するため、研究倫理の申請や病院施設への研究協力の依頼を行った。また、研究計画で調査対象とした施設管理者、およびケアの受け手に対する調査は、国際厚生事業団の訪問調査結果を踏まえて検討することにした。 EPA看護師は、その制度が導入が開始されてから10年が経過していることから、現在も同じ施設で就労しているのか、その実態は不明であった。そこで実態把握をするため、本務校の研究倫理申請の承認を受けた後に対象施設へ研究依頼および、EPA看護師の就労状況を把握するための回答を依頼した。 その結果、全108施設の内、45施設より回答を得(回収率41.7%)、有効回答は36施設(有効回答率71.1%)であった。その結果より、回答の得られた施設に在籍しているEPA看護師数は53人であり、当該施設における看護師国家試験合格者78人に対して67.9%が就労を継続していることが明らかとなった。また、受け入れ開始時からの看護師が定着している施設は16施設であり、現在はEPA看護師が0人である施設は11施設であった。 国家試験に合格したEPA看護師の多くは、すでに退職し、母国へ帰国していたり、他の施設へ移動しているケースが多くあった。特にその施設に単独で就労していた看護師の退職割合が高く、EPA看護師が不在となった施設の72.7%を占めていた。これらのことから、EPA看護師は国家資格を取得した上でも、日本で就労を継続することが困難であること、EPA看護師の就労が安定しないことに対して、看護管理者が苦慮している実態が明らかとなった。しかし、同時に1施設に複数名のEPA看護師が就労する施設では、定着率が高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、研究代表者の本務校の行業務が多忙であったこと、研究分担者とのWEBを通じての打ち合わせ日程の確保が困難であったことなどから、研究遂行に必須の研究倫理申請に時間を要してしまった。その結果、研究協力依頼等の研究の進捗が遅れることとなった。 現在は、研究倫理も承認され、研究対象の施設等への研究協力依頼も終了している。今後は全国の研究協力を申し出ていただいた施設に対し、インタビュー調査および質問紙調査を具体的に進めていくことになっている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、具体的にデータ収集に取り組むことになっている。既に質問紙調査用紙は、研究協力の得られた施設に送付し、回答を待つ段階である。また、インタビュー調査は全国の6施設より協力が得られている。それらの施設に直接出向き、調査を行う予定である。ただし、複数人に対するインタビュー調査を行う予定であることから、日程調整および研究者の業務調整を行いながら取り組む予定である。 本年度より、研究分担者が1名減少しているが、研究代表者の本務校の業務が軽減できていることから、昨年度よりも研究遂行に取り組む時間を確保できる状況である。 さらに、平成30年度は、29年度で明らかになったEPA看護師の就労実態について、学会発表、および論文作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、研究倫理の申請が遅れたために、研究の進捗が遅れしまった。そのため、研究費の内訳の関しても、研究依頼や調査研究を実施するための研究費の使用になり、使用金額が減少したため、次年度使用額が発生している。平成30年度は、インタビュー調査等、現地調査を進める予定であり、すでに研究協力の得られた施設との調査日程の調整に入っている。具体的には、本年度の8月から9月末にかけて、研究協力を申し出てくれている北海道から山口県までの施設で現地調査を行う予定にしている。研究計画の段階では、東海地域および、関東地域で現地調査の予定であったが、実際に研究協力を得られた施設が広範囲にわたっている。これらの該当施設には複数回の訪問が必要となることも予測されるため、研究遂行を効率的にすすめられるよう、十分な調整を図りながら取り組む予定である。それらデータを具体的に収集するために、本年度は旅費の申請が必要であると予測される。また、データ整理のために人件費等の支出も予定されている。これらについては、次年度計画のとおり進める予定である。
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