研究課題/領域番号 |
17K09249
|
研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
井野 恭子 椙山女学園大学, 看護学部, 講師 (30399240)
|
研究分担者 |
鈴木 浩美 西武文理大学, 看護学部, 講師 (00554700)
佐藤 晶子 椙山女学園大学, 看護学部, 助教 (20593510) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | レジリエンス / インタビュー調査 / 外国人コミュニティ / 信仰宗教 / 方言の困難性 / 緊急時の日本語対応 / 対処機制 |
研究実績の概要 |
当該年度は、昨年調査を実施したデータの分析を行った。昨年度の調査は、協力の得られた2病院で、外国人看護師8名、日本人看護師12名に対し個別でインタビュー調査を実施した。インタビューの総時間数は520分(1人あたり平均26分)であった。インタビューの録音データをテープ起こしを行い、内容分析の結果から、外国人看護師が日本の医療現場で働く上での困難な状況に対してのレジリエンスを抽出した。その結果、外国人看護師が日本の医療現場に適応できるためには、①外国人看護師を受け入れる医療現場の受け入れ態勢の整備、②外国人コミュニティ、または外国人同士のネットワークの存在、③信仰する宗教の教会が身近にあること、④言葉、特に方言の理解を促進できる方略の必要性、⑤外国人個人の資質による対処機制や忍耐力の必要性が抽出された。また、日本人看護師と外国人看護師が捉える危機の捉え方には差異があることが明らかとなった。 レジリエンスへの対応方略としては、マッチングの段階では①施設職員の心理的受入れ状態の確認、②信仰宗教の教会の存在の確認、③外国人ネットワークの存在の確認が必要である。受け入れ段階では①日本語能力向上のための電子辞書の準備、②スマートフォンの活用による日本語翻訳機能の活用、業務対応時のトラブル発生時には外国人への支援体制の確立や相互文化への理解の促進が必要であることが示唆された。 今後は、外国人介護職に対して、レジリエンスに対する対応方略が実践可能であるか、検証を重ねる予定である。さらに、この分析結果を学会への発表準備、および論文投稿の準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度は、研究機関の最終年度であり、研究計画書における第3段階の研究に取り組む予定であった。しかし、昨年度に実施した研究計画書の第2段階である、外国人医療人材(看護師)と日本人医療人材(看護師)に対するインタビュー調査の分析が遅れ、当該年度にその分析に取り組むことになった。 当初の計画では、本年度はインタビュー調査から得られたデータ分析を行い、外国人医療人材のレジリエンスへの示唆を得て、外国人介護職員への効果検証に取り組む予定であった。しかし、データ分析が遅れてしまったために、介護職員への調査に取り掛かることができなかった。 さらに、当該年度は、研究代表者が他の研究による国際学会への発表準備、および所属学会の学会開催における大会運営委員長業務、学会論文集の発刊編集等の業務責任者など、社会的活動により多くの時間を要した。その結果、本研究に取り組む時間が大幅に削減し本研究の進展が遅れてしまった。 そのため、研究期間を1年間延長することとし、次年度にレジリエンスへの対策に対する効果検証に取り組むこととなった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間の延長年度であることから、今年度中には研究成果をまとめる必要性がある。そのため、研究分担者とより綿密に打ち合わせを行いながら、研究に邁進する予定である。まずは、研究代表者の所属における研究倫理審査を受け、研究を展開できるように整える予定である。また、本年度は、COVID-19の感染拡大を受け、研究対象者に直接、面接での研究依頼等が困難になることが予測されている。そのため、状況に応じて、WEB面接での研究依頼など、従来の研究方法とは異なる取り組みを行う必要がある。 それらに配慮した上で、研究最終年度の研究の推進に取り組む予定である。しかし、対面での研究の制限が厳しくなると、研究が進まなくなることも予測される。その場合にはさらなる研究方法の検討が必要となる。COVID-19の感染状況等にも目を向け、予測した行動ができるように対処したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、研究代表者が国際学会への発表準備や、所属学会の大会運営委員長などの社会活動により、業務が繁忙になり、本研究に取り組む時間を確保することが困難であった。そのため、研究推進に伴う研究経費の使用ができなかった。そのため、研究期間を1年間延長し、研究内容の 次年度は、分析結果から抽出された外国人医療人材の日本語の理解を促進するために、翻訳機能の付与されたポケトークなどの機器を活用する予定である。そのため、外国人医療人材に向けての購入費用(1台約33,000円)や、研究成果等の製本費用等に活用する予定である。研究協力者の人数に応じて、1人1台のポケトークを用意し、日本語への翻訳などに役立てる。しかし、地方の方言に対しては、対応していないと考えられるが、AI機能の付いたタイプのポケトークを活用することで、対応言語の拡大を検討したい。
|